大人の社会見学:藤野可織さん芥川賞授賞式

 というわけで、芥川賞の授賞式行ってきたですよ。藤野さんおめでとう、そしてありがとう。たぶんこんなこと人生で二度とないだろうなあ。以下、お上りさん丸出しで会場のようすをご紹介。会場は東京会館ってとこ。皇居のど真ん前。いまの建物は昭和46年にできたものだそうけど、もともとは大正九年に開業、かつては大政翼賛会が置かれてたらしい。すげー。



 会場はダークスーツ一色。あとで千野帽子さんに伺ったところによると、印刷とか書店とか取次とか、つまりは出版に関わるあらゆる分野のビジネスマンが集まるらしい。一種の業界交流会。で、時間が経つとだんだんダークスーツの割合が減って、あでやかなドレスや着物姿の女性が増える。どうやら銀座のママさんらしい。銀座の女性たちはなんかある種の迫力があって凄かったです。写真は自粛。



 後ろの緑は皇居、まじ感動する。ごはんはおいしい。んで、果てしなく出てくる。職人さんが天ぷらをその場で揚げてたり、お寿司をその場で握ってたりする。普通のそのへんのパーティーと違って、食べ物がなくなることはまずない。美術畑の私は完全アウェイで誰一人知ってる人がいなかったのですが、ごはん食べるので忙しいくらいでした。文芸春秋社マンセー



 手前が『ホテルローヤル』で直木賞受賞の桜木紫乃さん、そのお隣が藤野さん。で、右奥が受賞のお祝いを述べる林真理子さん。林さんはほんとスピーチうまい。会場は爆笑の渦でした。このほかにも会場には著名な作家さんがいっぱい。テレビで顔見たことがある人ばっかりなので、つい知人と間違えて挨拶しそうになることしばしば。一瞬、石田衣良さんに声かけそうになった。声かける前に気がついて良かった。



 知ってる人が全然いないので、報道に混じって写真ばっか撮ってました。「ローマの休日」を地で行くような感じ。しかし、それにしても良い笑顔! この表情からあの鬼畜でスプラッタで不条理な作品が生まれるギャップが良いよね。受賞作の『爪と目』は二人称で書かれた作品とよく言われているけど、実は普通の意味の二人称ともまたちょっと違ってて、そこに文学的トリックが隠されています。最近、手持ちビデオで撮ったホームビデオ風ホラーが多いけど、あれに近い感じかな。是非ご一読を。

『爪と目』藤野 可織
http://www.amazon.co.jp/dp/410334511X



 一杯入っちゃって顔が赤いですね、私。でもまあお祝いなので良しとしましょう。このあとも二次会、三次回とお誘いいただいて、四次会にまで誘われましたがさすがにギブアップ。文壇の人は本当によく飲む。そういえば藤野さんから席上「飲んでもあんまり変わらないですね」、と言われたんですよね。いやあ正直、あんまりハメ外したらどっかに書かれそうで怖いんだよね。そういう意味では若干警戒心があるかも、と言うと……。


「大丈夫、わからないように書くから!」


 ……やっぱ書くのかよ! というわけで、とうぶん彼女と飲むときは気を抜かないようにします。とまあ冗談は置いといて、藤野さん本当におめでとう。貞子3D2、本当に行こうね!