澁澤さん家の方へ

 夏休みを利用して、澁澤龍彦さんのお墓に詣でてきました。前にお参りしたのは確か2007年か08年ごろじゃなかったかな。最初の自分の本が出た前後のことだったと思います。それ以来になるので、約10年ぶりです。

 今回は三冊目の本になる『ソドムの百二十冊』が出たので、そのご報告も兼ねて、という感じです。この本は書評集なのですが、澁澤さんの本についても結構たくさん触れているので、やはりお参りしておいた方がいいか、と。

 澁澤さんのお墓はJR北鎌倉駅から徒歩数分、浄智寺というお寺にあります。写真は山門なのですが、この門をくぐって右に折れてまっすぐ進み、本堂の裏、左手の細い階段を上がって、途中で分岐した階段を上がって左手側。幾つかのお墓の並んだ一角にあります。お花を供えて掃除をしてきました。普通の仏花ではあまり喜ばれないだろうと思って、赤い薔薇をお供えしました。

 澁澤さんの本にも書いてあるのですが、このお寺のある一帯は、どういうわけか昼日中から、ひぐらしが鳴いています。十年前と全く変わらない、ひぐらしの声を聞きながら、井戸水で墓前の湯呑みなどを洗ってきました。水はすごく冷たくて気持ちが良かったです。

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 せっかくなので、鎌倉観光もしてきました。写真は鎌倉文学館。旧加賀前田家の別荘だったものだそうで、三島由紀夫が『春の雪』で、松枝侯爵の別荘のモデルにしたのがここだったそうです(この本のことも『ソドム』に出てきます)。当時は佐藤栄作さんの別荘になってたんだとか。栄枯盛衰。ちなみに話題の映画「シン・ゴジラ」は、このすぐ近くあたりを通ります。

 台風が近づいていましたが、そのまま稲村ガ崎へ。ここはのちに後醍醐天皇から総大将に任じられた新田義貞が、鎌倉幕府攻撃の口火を切った上陸地点。あまり意識してなかったのですが、後醍醐天皇は『ソドム』でも一節を割いて紹介した方。不思議なご縁を感じました。

 ちなみに、ここも「シン・ゴジラ」に登場していて、ゴジラが再上陸を遂げた際の地点として描かれています。ということは、ゴジラ新田義貞? まさか、とは思うのですが、江ノ島龍神さまゆかりの神社で、新田義貞龍神のご加護を得て幕府を倒したことになっています。いっぽうゴジラも、決して皇居だけは襲わないことで知られています。不思議な因縁です。

 この日は江ノ島で生シラス丼を食べておしまい。一泊して台風一過した翌日も、再び江ノ電に乗ってブラブラしました。京都で言えば嵐電とか叡電みたいな感じしょうか。


 そのあと鎌倉まで出てイワタコーヒー店でお茶。コーヒーもフラッペも美味しかったです。そのあとは辻堂で映画、「シン・ゴジラ」二回目。行ったばかりの場所が次々出てきて感無量でした。

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 シメは横浜の中華街で早めの晩ごはん。「桂宮」というお店で飲茶にしたのですが、ハチノスの蒸し物がすごく美味しかったです。楽しい一泊旅行でした。

北海道新聞で『ソドムの百二十冊』紹介されました

北海道新聞』(2016年7月31日朝刊)の「本の森(ほん欄)」で、拙著『ソドムの百二十冊』が紹介されました。無署名の新刊紹介欄ですが、それでも新聞の書評欄に載せていただいたのは初めて。嬉しいです。


http://dd.hokkaido-np.co.jp/cont/books/20160731.html?page=2016-07-31


ついでにいろいろまとめておくと、『朝日新聞』6月26日朝刊一面には、『ソドム』の広告が載っています。いわゆる「サンヤツ広告」というやつですね。


そして新聞広告の効果でしょうか、翌27日には、amazonの文芸理論部門で12位まで行ったようです。


是非ご一読になってくださいね!

冨永絢美 妹尾優希 二人展「コラージュ・ヌーヴォー」

冨永絢美 妹尾優希「コラージュ・ヌーヴォー」
会期:7月16日(土)〜27日(水)



 このたびSUNABAギャラリーでは企画展として、冨永絢美と妹尾優希の二人展「コラージュ・ヌーヴォー」を開催いたします。

 冨永絢美はコラージュ作家ですが、通常の印刷物などを素材とするばかりでなく、自身のアクリル絵の具による描線もその素材とするところに特色があります。アクリル絵の具の筆触そのままに切り抜かれた素材のコラージュによって、富永はまったく新しい画面、鮮やかで軽やかな抽象平面を立ち上げてみせます。

 いっぽう妹尾優希は油画を技法として用いていますが、その描画対象となるのは「写真の写真」です。妹尾は自身の古い家族写真を切り抜いてモビールにし、その揺れるようすをさらに撮影し、油画として描いていきます。不安定に揺れる古い写真のモビールのようすは、そのまま私たちが家族に対して持つ記憶の不確かさや謎を表象するかのようです。

 二人の作家はそれぞれ「写真の切り抜き」をその技法の核としていますが、その結果できあがる作品は、旧来の「コラージュ」の語から連想されるものとはかけ離れています。この二人の提示する写真と絵画の混合技法を、SUNABSAギャラリーは「コラージュ・ヌーヴォー」と名付けました。写真と絵画の交差する二人の新人作家の挑戦を、どうぞご高覧下さい。

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★冨永絢美
2016年、京都嵯峨芸術大学短期大学部卒。コラージュを中心に制作。個展に「せいとかしとか愛とか」KTNギャラリー(長崎、2011)、「コラージュ展」京都嵯峨芸術大学(京都、2014)、「warp!」京都嵯峨芸術大学(京都、2015)。2016年7月「ART OSAKA 2016」ホテルグランヴィア(大阪)







★妹尾優希
2016年成安造形大学洋画コース卒。卒業制作展で奨励賞を受賞。2014年京展入賞。第39回全国大学版画展出品。グループ展に「私の神さま|あなたの神さま」【キャンパスが美術館】(滋賀、2014)




前川ルチオ「反撥」


ステートメント
浮世絵、ホラーややくざ映画、ピンク映画等々への愛をもとに当時、そしてもしかすると現在も美術的とされず重んじられなかった表現(それは僕自身の作品もそうなのかもしれません)を反撥の気持ちを込めて僕なりの解釈で描き、発表したいと考えています。アーティスティックかどうかなんて分からないがエネルギーと得体の知れなさを感じる、ポップでエキサイティングな作品を発表します。(前川ルチオ)



★プロフィール
前川ルチオ(MAEKAWA lucio)
1975年11月22日生まれ、大阪在住。27歳のとき独学で絵画制作を開始。2013年に初めて作品を外部に発表。2015年、マテリアルをコピックからアクリル絵の具に変更。以降、黙々と制作を続ける。



★個展
2014年 「メザニーン」アートスペース亜蛮人(大阪)


★グループ展、アートイベント
2015年 「幻想美術の現在」SUNABAギャラリー(大阪)
「SUNABA動物園」SUNABAギャラリー(大阪)
2014年 「春宵ファンタスマゴリア」アートスペース亜盤人(大阪)
「スクールフェティッシュ」ギャラリーパライソ(大阪)
「アバンディ東京」ザロフ(東京)ほか
2013年 「nao×前川ルチオ2人展」味園 秘密倶楽部アニマアニムス(大阪)