高原英理さん新作『抒情的恐怖群』!

 おそらくは皆さんお待ちかね、高原英理さん新作『抒情的恐怖群』が刊行されました。ゴスロリちゃんたち、買いですよ、買い。これ読んでないと恥ずかしいよ。現代のゴシック文化は、取りあえずコレ読んどかないと始まらない。




http://www.amazon.co.jp/dp/4620107387



 どしぇー! なんちゅう表紙だ、怖いよう! この恐ろしい表紙を担当したのは、美術作家の西尾康之さん。西尾さんは映画『リング』の貞子に触発された幽霊画のシリーズや、粘土を指で凹ませて雌型を作り、そこに材料を流し込んで作る「陰刻彫刻」で有名な現代美術作家で、私も大ファンです。


 で、内容ですが、ホラーです。小説です。待ちに待った高原さんの、本格的ホラー短編集ですね。都市伝説あり妖怪あり、ゾンビものありSMあり、諸星大二郎風の古墳ミステリーありの百花繚乱。ホラーが普通に好きな人なら、この時点で満足間違いなしです。


 ただし「ああ都市伝説ものね」などと油断してると、話はとんでもない急旋回を遂げていきます。おいおいどこへ行くのだ! と思います。で、最終的にはどえらいラストに突き進む。「国家とは何か」とか「愛とは何か」とか、おおよそホラーを読んだあととは思えない問いを突きつけられる。こんなホラー、あんまりないと思うなぁ。


 私個人の好みを挙げておくと、文學界に初出の「グレー・グレー」、それと「呪い田」の二編がお気に入りです。しかしホラーの、しかも短編の紹介は難しいな。ネタバレさせちゃつまんないですしね。それと、これ重要なので申し上げておきますが、


 ×「叙情的恐怖群」
 ○「抒情的恐怖群」


 これ、私も間違えました。お間違えなきよう。ちなみに、推薦文は京極夏彦さんです。それと、表紙担当の西尾康之さんについては、いま発売中の『TH(トーキング・ヘッズ)』誌38号に、インタビュー記事とレビューが出ていますので、こちらもあわせてお買い求めになると良いかと思います。もちろん今回も高原さんのエッセイが載ってますしね。いろんな意味で面白い号なので、是非。私も書いてます。


http://www.amazon.co.jp/dp/4883751023