シュウゾウ・アヅチ・ガリバー EX-SIGN展
死んだら自分の肉体を80の部分に分割して保管してくれ、と依頼して、契約書を交わしたアーティスト、シュウゾウ・アヅチ・ガリバーの個展が、いよいよ本日から始まります。昨日、一足先に覗いてきたのですが、圧倒されました。滋賀県立近代美術館の山本淳夫主任学芸員、渾身の企画。古参美術記者の間ですら、ほとんど知られていなかったこの作家を発掘し、展覧会にまで漕ぎ着けた手腕に、まずは脱帽。40年に渡るキャリアを一望できる、密度の濃い展覧会に仕上がっています。
圧巻は冒頭に述べたプロジェクト《肉体契約》。この奇怪な契約を結んだ人には、寺山修司、麿赤児、沢田研二、萩原朔実、浅葉克己など錚々たる顔ぶれがずらり。契約当時のテーブルセットを、蒸発して乾ききったワイングラスなどとともに再現したインスタレーションは、異様なオーラを放っています。このほか、髪の毛や血液などを加工して芯にした《三色エンピツ》のシリーズや、240時間ものあいだ、そこに入ったまま過ごした箱のインスタレーション《De-story》、夢の中で開催された展覧会への招待状《ワン・セルフ・ポートレート》など、言葉本来の意味でのラディカルな作品が、これでもかとばかりに並んでいます。
これほどの作家がなぜいままで誰にも知られることがなかったのか、いまとなってはそちらの方が不思議に思えるくらいです。場所はちょっと遠いのですが、この展覧会、かなり話題になるのではないかと思います(というか、ならないとおかしい)。是非ご覧になってください。4月11日まで。
http://www.shiga-kinbi.jp/exhibition/exhibition_database/pressrelease/exhibition_09-6.html
※帰宅途中、Contact Gonzo の塚原君とばったり出会い、向こうの都合も聞かずに無理矢理チケットを渡してしまいました。よく考えたらかなり当惑されたと思いますが、そうせずにはいられない気分でした。塚原君、すいませんでした。でも絶対面白いと思うので、行ってみてね!
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追記
アトリエサード刊『TH』に、シュウゾウ・アヅチ・ガリバー「EX-SIGN展」についてのレビューを執筆しています。興味をお持ちの方は是非ご覧ください。
http://www.amazon.co.jp/dp/4883751147