荒川修作さん死去

驚いた。まったく突然の訃報。大阪の国立国際美術館で、初期作品展が始まったのが4月17日。そのときはお見えにならなかったけれど、スタッフの方から「ひょっとすると会期中においでになるかも知れないよ。連休後には来られるかどうかわかるから」と聞かされたばかりだ。まったく突然の訃報で、俄然、この展覧会への注目は高まるだろう。展覧会のタイトルは「死なないための葬送」。あまりにもできすぎた話ではないか。

http://www.nmao.go.jp/japanese/b2_exhi_beginning_arakawa.html

週刊金曜日』にも書いたのだけれど、今回ここに紹介された初期作品は、コンクリートの塊を棺桶状の箱に詰めた作品で、きわめて濃厚な死の匂いを放つもの。しかも今回の展示作品のなかには、長らく倉庫に眠っていて「修復不可能」と判断されていたものもあって、二重の意味で死の刻印を帯びている。それが慎重かつ大胆な修復作業を経て蘇り、まさに「死なないための葬送」を地で行くような物語を演じた作品群だ。その展覧会の会期中に、こうも唐突に亡くなるとは。作家が作品を演じてしまった、という気がしてならない。

残念ながら、これで荒川さんにお目にかかることはできなくなってしまったけど、会期中にもう一度、作品を見に行きたいと思っている。せめてもの供養と追悼の気持ちを込めて。

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現代美術の第一人者 荒川修作さんが死去
(共同) [ 2010年05月20日 06:55 ]

 戦後日本の代表的な現代美術作家の一人で、「養老天命反転地」など特異な作品で知られる荒川修作(あらかわ・しゅうさく)さんが19日、ニューヨーク市内の病院で死去した。73歳。名古屋市出身。葬儀・告別式の日取り、喪主は未定。

 1960年ごろに日本の前衛美術で活躍した後、61年に渡米。製図のような図形による「ダイアグラム絵画」を確立して高く評価された。70年代から欧米や日本で大規模な個展を開催し、米グッゲンハイム美術館では日本人初の個展を開いた。

 パートナーで詩人のマドリン・ギンズさんとの共著「意味のメカニズム」などで、哲学と科学、美術を総合した思考を展開。その理論を実践し、公園のような美術作品「養老天命反転地」を95年に岐阜県養老町に開設。近年は建築作品や都市プロジェクトに取り組んでいた。

 96年に日本芸術大賞、2003年紫綬褒章

 大阪市北区国立国際美術館で初期作品展が開催されている。