LIFE with ART 〜受けとめ、そして、渡す人〜

これは展覧会というよりも、まずアーカイブなんだろうなと思う。かつてダムタイプが中心となって、京都市左京区という実に狭いエリアに繁茂した、社会運動とも芸術運動ともつかない混沌としたムーブメントの記録。

それはいくらでも矛盾する形容を引き寄せる、言葉にしようのない何ものかだったのだと思う。ダンスなのか、パフォーマンスなのか。演劇なのか、美術なのか。メディアアートなのか、身体表現なのか。芸術なのか、社会運動なのか。フェミニズムなのか、ゲイ解放運動なのか。友情の産物なのか、倫理的な要請に応えた行動なのか。日本人なのか、朝鮮人なのか。ゲイなのか、ヘテロなのか。欲望なのか、愛なのか。下品なのか、上品なのか。ショーなのか、アートなのか……。そのいずれでもあり、いずれでもなかった、何か厚くて冷たい塊の出来事のアーカイブ

けれどもアーカイブという言葉が過去を向いたものであるのに対して、この展示は未来に向かってのアイデアを書き付けたメモランダムでもある。企画書とかプレゼンシートのようにまとまった概念を記したものでなく、見た人がいかようにでも再編成し、何かを考え、行動する道具にするためのメモランダム。

そしてもう一つ、アーカイブともメモランダムとも違う点が、この展示にはある。「知」の編集技法としてのアーカイブやメモランダムとは違って、ここには「血」が通っているという点だ。HIVに感染した血液。親子の「血」。被差別者の流して来た血。在日コリアンをはじめとする民族の「血」。友情や愛情のメタファーとしての「血」。そのほか、そのほか。それは考えることよりも、感じること、味わうこと、インターコースを要求する。

9月24日(金)〜10月23日(土)
LIFE with ART 〜受けとめ、そして、渡す人〜
京都精華大学ギャラリーフロール
〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
http://www.kyoto-seika.ac.jp/fleur/past/2010/0924/index.html

来月、私はブブさんとトークをする予定だけど、もしそれにおいでになる予定の方がいたら、是非この展示を見て来て欲しいと思う。それは重なり合い、インターコースし、愛し合う。重ね書きされる出来事。

トーク「美術とエロティシズム」
10月22日(金)19:30〜21:00
ゲスト:ブブ・ド・ラ・マドレーヌ(BuBu de la Madeleine)
ホスト:樋口ヒロユキ(ひぐち・ひろゆき)
会場:common cafe
〒530-0015 大阪市北区中崎西1-1-6 吉村ビルB1F
受講料:各講座 1,500円(税込み)
お申込み・お問い合わせ singles@do.ai

http://www.yo.rim.or.jp/~hgcymnk/lecture/bubu/bubu.html