【訃報】元永定正さんの遺作、神戸ビエンナーレ
神戸新聞、以下は神谷千晶さんの記事から。
「現代美術家・元永定正氏、死去 88歳」
日本を代表する現代美術家で、宝塚市を拠点に国際的な活躍をした元永定正(もとなが・さだまさ)氏が3日午後9時42分、前立腺がんのため宝塚市内の病院で死去した。88歳。三重県伊賀市(旧上野市)出身。モトナガ資料研究室は宝塚市社町4の104。葬儀・告別式は近親者で済ませた。
正直、まだ信じられないし、実感が湧かない。現在開催中の神戸ビエンナーレでは、元永さんの作品が数多く展示されている。その鮮やかな色彩からは、死の影などみじんも感じることができない。以下は神戸ビエンナーレで展示されている元永さんの作品。まずは《作品(水)》(1956/2011)。2009年のベネチアビエンナーレでも再制作され、大きな話題となったもの。
つづいて、《作品(水)》(2011)。上のシリーズのニューバージョン、新作。
最後に《ながれたかたちとかたちのかたち》(2011)。新作。無数のドローイングからなるカラフルな組作品で、もはやインスタレーションといっても過言ではないと思う。
元永さんは水で作った彫刻を、おそらくは世界で初めて制作した人で、しかもそれを野外の展覧会で展示した。インスタレーションと言う言葉も、サイトスペシフィックという概念もない頃から、それを先取りした人だった。現在、国立国際美術館では、インスタレーションを中心とした「世界制作の方法」という展覧会が開催中だけど、そうした表現手法のおおもとを作った人の一人だったと言っていい。
昨日はアップルのスティーブ・ジョブズの訃報が届いた日でもあったけど、両者ともに世界を変えるような仕事を早くから成し遂げ、最後の最後まで仕事をした。本当に立派な人生だと思う。神戸ビエンナーレの会場で、そんな元永さんの最後の仕事を是非見ていただきたい。
兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp/
神戸ビエンナーレ 2011
http://www.kobe-biennale.jp/