contact Gonzo + Jecko Siompo
おはようございます。contact GonzoとJecko Siompoさんのコラボによる展覧会「raw meat in atlantis」(アートエリアB1)を見てきました。私が見たゴンゾの中では一番わかりやすく面白い展示でした。
contact Gonzo + Jecko Siompo
「raw meat in atlantis」
アートエリアB1、2月10日まで
artarea-b1.jp/schedule.html
contact Gonzoは毎度お馴染み、殴り合いするアーティスト。塚原悠也さん率いる「どつきあいアート集団」として理解してたのですが、集団の名称であると同時に、身体の接触によって他者理解を行う「contact Gonzoという方法論」の名称でもあるのだとか。いっぽうのJecko Siompoさんは、インドネシア在住のヒップホップダンサー。この両者のコラボによる映像とドローイングの展覧会となっています。いわば「都市のジャングルから生まれた殴り合いアート」と「リアルジャングルから生まれたヒップホップ」の出会いですね。
タイトルの「raw meat in atlantis」は、Jecko Siompoさんのアイデアによるもの。日本やインドネシアを含む東南アジア諸国は、アトランティス大陸が太平洋に沈んだあとにわずかに残った切れ端だ、というのが彼の持論なのだそうです。「raw meat=生肉」というのが何を意味するのかはよくわかりませんが、映像を見ながらイメージを膨らませると非常に楽しいです。不在の大陸で祭儀に捧げられる生肉でもあるだろうし、そこで儀式を執行するアーティストたちの肉体でもあるかもしれない。このあたり謎めいているだけに面白いです。
同じ趣味を共有するグループ、社会集団のことをよく「トライブ」といいますが、Jecko SiompoさんとGonzoは、ヒップホップやスケートカルチャーという、まさに同じトライブに属している。それが映像や失われたアトランティスの記憶を介して結びつく、という感じでしょうか。ちなみに映像には生肉を捧げて踊り狂う、みたいな場面は出てきません。あくまで「raw meat」はイメージを理解するためのキーワードで、むしろ非常に素朴にくだらないことをして彼らが遊ぶ場面が延々と続きます。けれどもそれが何かの儀式の記憶のように見えてくる。
圧巻は「Gonzo岩」と名付けられた、四角四面の岩の上での場面です。「Gonzo岩」は寺山修司さんの「さらば箱船」の終盤に出てくる岩にそっくりなのですが、塚原さんは本当に六甲山中に実在するこの岩を見つけ出し、そこで儀式を執り行うんですね。神戸という都市のすぐ間近に存在する不可解なまでの自然の造形、そこでアトランティスの記憶を共有するトライブが儀式をする。この場面は非常にインパクトがあります。このほかドローイングも多数展示されていて面白い展示なので、是非ご覧になってください。