三宅由希子/インカ・エッセンハイ

 本日はakcuaの新鋭各賞受賞作家展「New Contemporaries」を見てきました。まあとにかく豪華な布陣なのですが、ともあれ『TH』の読者の皆さんは、三宅由希子さん目当てで行くといいと思います。私も初めて見たのだけれど、かなりゴシック。なんと妊娠してる女性の断面図の連作です。いずれも胎内を露にした女性が、森の中で呆然としていたり、メリーゴーラウンドに載っていたり、原子爆弾のキノコ雲の上に浮かんで、カメレオンのような舌を伸ばしていたりする。

新鋭各賞受賞作家展「New Contemporaries」
ギャラリーakcua
http://t.co/PJqJ7EqP


 三宅さんの作品は、去年の京芸の学内展にも出ていたようで、私はどうも見過ごしてたようです。《樹海に入る》という作品ですが、今回の出品作は、これにちょっと近い感じ。けれども今年はもっとバリエーション豊かになってて、幻想ありロリータあり軍事ものありという危険な雰囲気。 いま調べてみたら三宅さんは面白い経歴で、神戸大学教育学部を卒業したのち兵庫県立星陵高校に勤務しながら、2008年にシェル美術賞で準グランプリを獲得。どうもその後、京芸に進まれたようですね。いろんな意味ですごく気になる作家さんで、早く個展が見てみたいです。

中井康之さんのレポート、まんなかあたり
http://bit.ly/xTyJyG


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 もう一つ今日は小山登美夫ギャラリー京都の「インカ・エッセンハイ展」も見てきました。1969年米国生まれ、NY在住の方だそうですが、これも非常によかった。デジタルのイラストや日本画の方に見て欲しい展覧会です。

「インカ・エッセンハイ展」
小山登美夫ギャラリー京都
http://bit.ly/z1zSwb


 インカ・エッセンハイさんの作品は、web上にもいっぱいありますが、生でないとわかりにくいかも。クニャンとした形を見事に一筆でスルッと描く。この筆触の気持ち良さが、webの小さな画像だと潰れて見えないんですね。なかには肥痩のある線で輪郭線を描いたものなどもあって、こうなるとほとんど日本画なのですが、それと油彩的な筆触が渾然一体となってて、独特の画面を作っている。日本画の方に是非見ていただきたいと思う理由は、そういうところにあります。

web上で見られるエッセンハイさんの作品
http://bit.ly/xzTQYO


 彼女はデジタル表現全盛の時代に、あえてアナログな手法にこだわっているとのことで、筆触の豊かさはその辺に起因しているのでしょうね。とにかく本当に筆で絵の具を塗るのが楽しそうで、見てるうちに絵の具を使う感覚が体の中で蘇ってくる。近年はPIXIVにデジタルの絵を出しながらアナログの絵も描くスタイルの方がちらほらいらっしゃるようですが、アナログの筆触の面白さを再確認する上では、とても参考になると思います。本邦初の個展とのことですので、この機会に是非御覧になってください。