現代美術二等兵 活動二十周年記念「駄美術大博覧会」

 わたしの大好きなアートユニット「現代美術二等兵」の展覧会「駄美術大博覧会」が、HEP HALLにて開催中です。



 《メインキャラ》。要するにこういう冗談めいた作品ばかり作っている二人組なのですが、二人ともれっきとした京都芸大の卒業生です。作品の多くは駄洒落であったり謎掛けであったりしますし、モチーフは非常にキッチュです。彼らはもうこんな活動を20年にも渡って続けています。



 《手羽先天使「翼を揚げたエンジェル」》。……このタイトル、中村あゆみさんの往年のヒット曲「翼の折れたエンジェル」を知らないと面白くないわけで、ポップカルチャーに対する知識と教養が問われます。なんちて。



 《生命の神秘のれん「何万分の一の確立に乾杯」》(タイトルはママ)。こうしたキッチュなモチーフにいち早く注目した美術評論家として石子順造さんがおられますが、石子さんがもしいまもご存命でご覧になったらなんと仰ったかな、と思います。いまや質屋ののれんにリアリティーを感じられるのは、40代以上しかいないのではないか。図らずもキッチュへの惜別の歌となっているようにも思えます。



 《ハリウッド版「あっちでリメイクされたらこんな感じ」》。こちらは大河ドラマでお馴染み直江兼続のカブトをもじったものですが、直江を主人公にした「天地人」からはや3年、これとてもいつまで説明抜きで理解できる日が続くだろうかと思います。キッチュの寿命は意外に短く、儚いものです。放っておけばそれは無明の忘却に沈んでいくのです。



 《高齢ロッカーの為の手押し車「死ぬまでロックと誓った貴方の晩年に」》。こちらは存外長生きしそうなモチーフですが、やはりどこか淋しくもあります。面白うてやがて悲しき、というニュアンスがどこかにあるところが、現代美術二等兵の面白さだと思います。

現代美術二等兵 活動二十周年記念「駄美術大博覧会」
HEP HALL
2012年7月13日〜7月25日 11:00〜20:00
http://www.hephall.com/19040/