山口典子さん、外村あかねさん、シュヴァル理想宮トリビュート展、三月書房、村田兼一さん

 本日行ってきた場所を幾つか。一つ目は山口典子さんの個展「Nu doll – Stop Motion Animation -」。タイトル通りヌードル、つまりは生の中華麺を使い、ヌードの人形と絡めたコマ撮りアニメ。クレイアニメの要領で生麺がゾワゾワと動き回り、人形の上を這い回って、ついには麺の大河となって人形を押し流してしまう。チェコシュルレアリスト映画監督、ヤン・シュヴァンクマイエルの粘土人形アニメに対する、極東の美術作家からの回答のような作品。株式会社富多屋生麺とのコラボレーションによる作品で、映像の一部は富多屋生麺の製品カタログの表紙に使われています。予想外のコラボの事例としても面白い作品。山口典子さんの作品は、付近のcafe & gallery Lugolでも展示中だったのですが、こちらは平面作品。石塑粘土で作ったウロコのようなものがカンヴァス一面を覆っているという作品でした。

山口典子 個展「Nu doll – Stop Motion Animation -」
明日まで、京都芸大ギャラリー「@kcua」
http://www.kcua.ac.jp/gallery/exihibition/3338.html


山口典子作品展示
cafe&gallery Lugol
http://www.lugol-cafe.com/index.html


 「@kcua」では成安造形大の日本画の子たちのグループ展もやっていたのですが、外村あかねさんの作品が気にかかりました。京阪電車と思しき緑の電車と、線路の上に咲く曼珠沙華。ちょっと不吉な連想をさせる構図ですが、これみよがしの描き方ではなく抑制の利いたタッチで、そこが余計に凄みのようなものを感じさせます。3年生とのことですが、今後が楽しみです。

成安造形大 美術領域日本画コース グループ展「むすんでひらいてん」
京都芸大ギャラリー「@kcua」、25日まで
http://bit.ly/WzhKPO


 三つ目はグループ展で「郵便配達夫シュヴァルの理想宮 完成百年記念展 夢の実現するところ」。シュヴァルの理想宮というのは、フランスのシュヴァルという郵便配達夫が生涯をかけて完成させたセルフビルド建築。ガウディ建築にも東南アジアの仏教建築にも似た奇怪な建築物ですが、シュヴァルは建築を学んだことは一切なく、建材の石を拾い集めるところからまったく独力で完成させたものです。今年はその完成から百年にあたるそうで、この建築にインスパイアされた「セルフトートアーティスト=独学者の芸術家」たちの作品による展覧会が本展。シュヴァルの理想宮の写真を含む、ユニークな作品が揃っていました。点数も多くかなり見応えがあり、会期もまだまだ長いので、お近くの方は是非。

「郵便配達夫シュヴァルの理想宮 完成百年記念展 夢の実現するところ」
ギャルリー宮脇、2012年12月1日(土)〜2013年2月23日(土)
http://www.galerie-miyawaki.com/MiyawakiCheval2012FlyerAB.jpg


 で、ギャルリー宮脇に行ったらついでに是非寄って頂きたい書店がこちら、三月書房。ここの面白さは実際に行って棚をじっくり見てみないとまずわかりません。非常に個性的なセレクトで、つい30分くらいお店で過ごしてしまいます。『TH』や『ユリイカ』のバックナンバーもたくさん揃っているので、私の書いたものもいろいろと読めます。ご主人は京都の出版や書店事情についての辛口のメルマガでも有名。お邪魔するのは久しぶりだったのでご挨拶したところ「ああ『TH』ね、バックナンバーがよく売れます。入れたときは全然売れませんね」とのこと。す、すいません、精進いたします……(汗)!

三月書房
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sangatu/


 最後は大阪で乙画廊「村田兼一 -キノコの森のUpskirt Voyuer 出版記念展-」。こちらはエッチなものがお好きな方にお薦め、内容はあえて記しません。モノクロ銀塩写真に手彩色のシリーズのほか、デジタルカメラの新シリーズもあり。27日まで。

村田兼一 -キノコの森のUpskirt Voyuer 出版記念展-」
乙画廊、2012年12月18日(火)〜27日(木)
http://oto-gallery.no-blog.jp/otoblog/2012/12/upskirt_voyuer_.html