幻燈記

「盲たる忌まわの際の幻燈師死出の船出に何を夢見む」
「伴天連の幻燈不意に消ゆ時に髑髏の曲馬虚空駆け逝く」
「死に際の瞼の裡を駆けむとす奔馬嘶くヴィオロンの如く」
「射干玉の闇夜に奔馬嘶けり死出の旅路を彩る幻燈」
「射干玉の闇夜を照らす幻燈師死出の船出の水先説きつつ」
「幻聴のヴィオロンに嘶く駒の眼を抉りて見ゆは冥土の幻燈」
「幻燈消ゆ銀幕深く斬り裂けば我が死後に嘶く駒の駆け逝く」
「天高く髑髏の駒の嘶く夜に黄泉の旅路を照らせ幻燈」
「道化師は悲しからずや幻燈に死後の栄華を独り夢見む」
「瞼の裡の銀幕もはや燃え尽きぬ駒の嘶き終止符にして」


道化師
「恨みもて我が剣の裂く踊り子の血塗らるる夢を秘めし道化師」
「道化の子独り囃され啜り泣き謳う霊歌は異郷の旋律」
「痩せた子を攫わむと脅す道化師の立小便の匂いは悲し」
「我が舞台邯鄲の夢と嗤いつつドオラン拭う道化の手巾」
「裏町に一夜限りの情交わす酌婦と道化は名を語らわず」
「奇術師も獅子も道化も消え失せぬ酌婦の酒瓶砕けし場末に」
「幽かなる道化師鳴らす手風琴サアカス消えし町に木霊す」
「故郷捨て遠き旅路に骨埋む道化の墓を嗤うか烏よ」


 8年前、2005年に知人のCDの帯文用にキャッチコピーを依頼され、コピー替わりに書いたもの。寺山さんの影響が濃厚すぎてアレですが、まあそういう手遊びをやったこともある、ということで。もう時効だと思うので公開します。下は新作。


水平線に切り結ばんとする喫水線死線彷徨う我らが視線