谷澤紗和子さんインタビュー

 美術作家の谷澤紗和子さんへのインタビュー、アップしました。いま谷澤さんは「切り絵作家」として人気が高まっている人で、さまざまな影を落とす切り絵には夢のような魅力があります。が、実は彼女の目論むものは途方もなく大きくて、ヨーゼフ・ボイスの「社会彫刻」のような面も持っているのです。



 谷澤さん自身はボイスについてちょっと思うところがあるようで、インタビューの中での直接の言及は控えたのですが、ボイスと谷澤さんの作品には実は非常に多くの特徴があります。たとえば不定形な素材の使用がそうです。ボイスは蜜蝋を使い、谷澤さんは油粘土を使う。両者ともに使うのはフェルトです。両者ともに神話に大きな影響源を持ち、パフォーマンスを作中に取り込もうとする。



 けれども谷澤さんはボイスを意識したわけではない。何より両者に共通するのは資本主義に対する洞察と疑念で、両者ともに神話的、シャーマン的世界に「資本主義の先」を求めている。そのことは下記のインタビューでかなり詳しく聞いています。つまり似せようと思ったのでなく、目的意識が似ているので、似たような素材に辿り着いたわけです。



 私はこの5〜6年ずっと、呪術は美術の生みの親で、呪術的美術と美術的美術が繰り返し交互に出てくるのが美術の歴史だということを言い続けています。谷澤さんの作品はまさに、そうした呪術的美術ドンピシャの作品なんです。今回のインタビューでは作家当人の口から呪術的というキーワードを引っ張りだしたという意味で、私にとって非常に大きな意味を持っています。このインタビューを終えたあと、いま進めている単行本に新たな書き下ろしパートとして、谷澤さんの章を設けることにしました。



 彼女はおそらく非常にスケールの大きな作家で、それが明らかになっていくのはこれからだと思います。いろんな意味で手応えを感じている作家へのインタビューということで、是非いろんな方にお読みいただければと思います。奇妙で怖くて懐かしくて優しい、もののけみたいな谷澤さんの作品世界、どうぞご覧になってください。

谷澤紗和子さんインタビュー
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