「横尾忠則どうぶつ図鑑」

 本日は試験のあと、見逃していた「横尾忠則どうぶつ図鑑」を見に横尾忠則現代美術館へ。基本的には夏の子ども向け企画だけれど、なかなかどうして興味深い。ふだん見慣れていた横尾作品のなかに、あれ、ここにも動物が、あれ、こっちにも動物が、という発見がいっぱいあった。普段いかにいいかげんに絵を見てるか思い知らされ企画とも言える。


 横尾忠則現代美術館は王子動物園のすぐ向かいにあるのだけれど、王子動物園は亡くなった動物の剥製を保存しているらしく、地の利を活かしてその剥製も同時に展示してあり、なかには絵画と組み合わせたインスタレーションになっているものなどもあって面白い。そんななかで面白いのが、横尾絵画の中における馬というモチーフの位置づけ。企画者によると横尾作品のなかの馬は、異界との媒介者のような役割を担うことが多いらしい。これは「動物」という切り口で丹念に作品を眺め直したことによる再発見。年代別の展示からは見えて来ない、横尾絵画の重層性が伺える指摘だと思う。


 それと、動物好きの画家って結構多くて、中山玲佳さんとかもそうだし、栗田咲子さんなんかもそう。ほかにもヤノベケンジさんのドラゴンとか会田誠さんのオオサンショウウオとか、探せばいっぱいあるんじゃないかな。いつか横尾さんだけでなく、いろんな画家の動物の絵ばっかり集めた展覧会とか見てみたいものだと思う。従来の作家論とはまるきり違う、新しい美術の見方が提示できるかもしれない。

横尾忠則どうぶつ図鑑」横尾忠則現代美術館、9月16日まで
http://www.ytmoca.jp/exhibitions/2013/05/post.html