フォートリエ、今井俊満、堂本尚郎、細江英公、池内美絵、上野王香、藤田はよ

 国立国際のジャン・フォートリエ見てきた。アンフォルメルの人、という理解だったのだけれど、抽象表現に行く前の戦前の作品に圧倒された。いわゆる「ヴァニタス」や「台所の絵画」の系譜に属すると思しき、死の匂いが濃厚な作品がかなりある。たぶん一次大戦の経験がどこかに響いてるのだと思うけど、かなり重い。けど、ゴシック系のクラスタは見といた方が良いんじゃないかな。リンクはちょっと画像が小さくて隔靴掻痒の感がある。やっぱり現物是非見て欲しいです。


http://www.newyorkartworld.com/images-reviews03/afautrier/LesPeauxDeLapin-288x400.jpg


 会場ではフォートリエの生前の映像も流れてたけど、それを見ると意外に気さくな人柄のよう。ちょっと皮肉な感じだけど飄々としてて、陰々滅々という感じの人ではないように見えた。会場に展示されてた来日時のインタビューとか読むと、デュビュッフェのことをボロッカスにこきおろしてて笑える。結構言いたい放題の人だったみたいだ。


 国立国際、コレクション展にアンフォルメル関係の小部屋が作ってあるんだけど、今井俊満さん、堂本尚郎さんの日本人コンビはやっぱしカッコイイなあと思った。特に堂本さんの迷いのない筆触は本当に好き。うまいなあ、とつくづく思う。このほか私の読者の皆さんに人気があるのは、たぶん細江英公さんの「鎌鼬」連作じゃないかな。暗黒舞踏土方巽さんを撮り下ろした連作で、序文を瀧口修造さんが書いた写真集は、自分にはバイブルみたいな本。是非オリジナルプリント見てみてください。


 そのほか今日行ったところ。ブックショップcaloは榎忠さんのサポートをずっとやってる池内美絵さん含むグループ展。池内さんはアブジェクトな素材を使った小品で、コラージュの上野王香さんとのコラボもあり。上野さんはなかなか個展見に行く機会がないんだけど、以前から気になっている作家。21世紀の可愛いシュルレアリストたち、といったところかな。


 そのあとYoshimiさん、グループ展。笹川治子さんは珍しくペインティング。今回も世界の政治状況への怒りがあらわ。その後数軒回ってギャラリーパライソまで見たところで時間切れ。パライソはグループ展。「藤田はよ」さんがちょっと気になる。