展示の仕方 (1)アイレベルと仮置き

★アイレベルについてーーーーーーーーーーーーーーーーー
 展覧会というのは作品を人に見せるための会なので、まずは作品を「人が見やすい位置」に掛けることが最大の重要事項になります。「人が見やすい位置」というのはどういう位置かというと、およそ「目の高さ=アイレベル」ということになります。それで、まずは会場内に、このアイレベルを示す線を、タコ糸などを使って引っ張ります。



 140cmというとずいぶん低く感じるかもしれませんが、いまのことろこの高さをウチでは標準に設定しています。というのも、人間というのは一般に、見上げるよりも見下ろす方が楽なようにできています。それでウチでは、ちょっと低めの140cmをアイレベルの基準として採用しています。


 このとき、壁には養生テープを使って貼り付けます。厳密にやるならピン留めの方が壁の塗装が剥がれなくていいのですが、まあここはちょっと手抜きして、ウチでは養生テープを使っています。養生テープというのは内装屋さんとか引越し屋さんが、壁にモノを貼り付けるときに使うテープで、粘着力が弱いため、壁を汚すことがないという便利な材料です。




★仮置きーーーーーーーーーーーーーーーーー
 次に、作品を床に仮置きします。このとき、隣に来る作品との兼ね合いなどを考えながら、設置場所を大まかに決めていきます。グループ展の場合には、似た作風の人どうしは、できるだけ離して置くようにしましょう。似た作風の人どうしが並ぶと、どれが誰の作品かわかりにくくなります。



 またグループ展の場合には、同じ人の作品の間は詰めて並べ、逆に違う作家の作品の間はできるだけ離して置くようにします。自分の作品どうしの距離が多少狭くなっても、他人の作品との距離がくっつきすぎるより、ぐっと見やすい展示になります。文章で言えば「段落を変える」という作業に似ていますね。


★アイレベルに釘打ちーーーーーーーーーーーーーーーーー
 仮置きが済んだら、作品の中心がアイレベルに来るように、作品を壁に掛けていきます。実際には壁に掛けた後に細かな調整作業があるのですが、ともあれこれで、かなり整然とした展示になります。下の写真を見て貰えばわかりますが、ちょうど各作品の中心が、一直線に並んでいますね。



 このほか、釘打ちの段階でも細かなコツがあるのですが、そのあたりはまた次回に。以上、展示の基本となるアイレベルと仮置きのお話でした。

「絵のお化け 松村光秀トリビュート展」その1

2016年8月20日〜31日
企画グループ展 「絵のお化け 松村光秀トリビュート展」

[招待作家]=松村光秀
[トリビュート作家]=新竹季次、起 優衣、蜈蚣タマミ、林圭介、蛭田美保子、四学科松太、池田ひかる、野原tamago、一紅、椎木かなえ、西塚em

[協力]=ギャラリー島田


松村光秀



右:松村光秀 左:新竹季次



新竹季次



新竹季次



新竹季次



池田ひかる



池田ひかる



一紅



四学科松太

澁澤さん家の方へ

 夏休みを利用して、澁澤龍彦さんのお墓に詣でてきました。前にお参りしたのは確か2007年か08年ごろじゃなかったかな。最初の自分の本が出た前後のことだったと思います。それ以来になるので、約10年ぶりです。

 今回は三冊目の本になる『ソドムの百二十冊』が出たので、そのご報告も兼ねて、という感じです。この本は書評集なのですが、澁澤さんの本についても結構たくさん触れているので、やはりお参りしておいた方がいいか、と。

 澁澤さんのお墓はJR北鎌倉駅から徒歩数分、浄智寺というお寺にあります。写真は山門なのですが、この門をくぐって右に折れてまっすぐ進み、本堂の裏、左手の細い階段を上がって、途中で分岐した階段を上がって左手側。幾つかのお墓の並んだ一角にあります。お花を供えて掃除をしてきました。普通の仏花ではあまり喜ばれないだろうと思って、赤い薔薇をお供えしました。

 澁澤さんの本にも書いてあるのですが、このお寺のある一帯は、どういうわけか昼日中から、ひぐらしが鳴いています。十年前と全く変わらない、ひぐらしの声を聞きながら、井戸水で墓前の湯呑みなどを洗ってきました。水はすごく冷たくて気持ちが良かったです。

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 せっかくなので、鎌倉観光もしてきました。写真は鎌倉文学館。旧加賀前田家の別荘だったものだそうで、三島由紀夫が『春の雪』で、松枝侯爵の別荘のモデルにしたのがここだったそうです(この本のことも『ソドム』に出てきます)。当時は佐藤栄作さんの別荘になってたんだとか。栄枯盛衰。ちなみに話題の映画「シン・ゴジラ」は、このすぐ近くあたりを通ります。

 台風が近づいていましたが、そのまま稲村ガ崎へ。ここはのちに後醍醐天皇から総大将に任じられた新田義貞が、鎌倉幕府攻撃の口火を切った上陸地点。あまり意識してなかったのですが、後醍醐天皇は『ソドム』でも一節を割いて紹介した方。不思議なご縁を感じました。

 ちなみに、ここも「シン・ゴジラ」に登場していて、ゴジラが再上陸を遂げた際の地点として描かれています。ということは、ゴジラ新田義貞? まさか、とは思うのですが、江ノ島龍神さまゆかりの神社で、新田義貞龍神のご加護を得て幕府を倒したことになっています。いっぽうゴジラも、決して皇居だけは襲わないことで知られています。不思議な因縁です。

 この日は江ノ島で生シラス丼を食べておしまい。一泊して台風一過した翌日も、再び江ノ電に乗ってブラブラしました。京都で言えば嵐電とか叡電みたいな感じしょうか。


 そのあと鎌倉まで出てイワタコーヒー店でお茶。コーヒーもフラッペも美味しかったです。そのあとは辻堂で映画、「シン・ゴジラ」二回目。行ったばかりの場所が次々出てきて感無量でした。

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 シメは横浜の中華街で早めの晩ごはん。「桂宮」というお店で飲茶にしたのですが、ハチノスの蒸し物がすごく美味しかったです。楽しい一泊旅行でした。

北海道新聞で『ソドムの百二十冊』紹介されました

北海道新聞』(2016年7月31日朝刊)の「本の森(ほん欄)」で、拙著『ソドムの百二十冊』が紹介されました。無署名の新刊紹介欄ですが、それでも新聞の書評欄に載せていただいたのは初めて。嬉しいです。


http://dd.hokkaido-np.co.jp/cont/books/20160731.html?page=2016-07-31


ついでにいろいろまとめておくと、『朝日新聞』6月26日朝刊一面には、『ソドム』の広告が載っています。いわゆる「サンヤツ広告」というやつですね。


そして新聞広告の効果でしょうか、翌27日には、amazonの文芸理論部門で12位まで行ったようです。


是非ご一読になってくださいね!