ハリウッド映画

いま私が教えている生徒はオタクの子がほとんどです。私もかつてはオタクであったはずで、署名原稿デビューはウテナ論だったりするのですが、いまではすっかり斯界から遠のいてしまい、ヘタリアけいおんも見ていません。なので、オタク関係ではまず対話不能、ついていけない。

逆に私の専門である現代美術の話をすると、テキメンに彼らは眠ってしまうので、これは無理。純文学の話だと、一部の女の子は面白そうに聞いてくれますが、男の子が撃沈する。で、どうしようかといろいろ考えた末に、試行錯誤して辿り着いたのがハリウッド映画。これならなんとかみんな見てくれる。

当然のことながら、私もそんなにハリウッド映画を一生懸命に見るクチではなく、もともとはヨーロッパや日本製の芸術映画の方が好みです。フェリーニパゾリーニ大島渚寺山修司塚本晋也タルコフスキーデレク・ジャーマンパラジャーノフビクトル・エリセそのほかそのほか。ハリウッド製のは年に一回か二回見れば良い方で、ちゃんと見てきたとは言い難い。

で、時間の空いた時にぽつぽつと、家でハリウッド映画のDVDを見ることにしました。昨日見たのは『ダイハード』。当然ながら普通に面白いし、脇役がうまく描けてるのも良いポイント。これなら40年前のジョーズと違って、いまの子でも「古典」としてではなく、現在形の映画として見られそうな気がする(でも20年前なのか、すげえ古いな)。

ハリウッド映画はネタの枯渇が激しいと言われてて、実際、夏の大作のネタになるのも、ここ数年はアメコミ原作ばっかり。オリジナル脚本が全然ないわ、外国人監督にすぐ頼るわ、水で薄めたような三部作ばっかりだわと、非常に悲しい現実があるんだけど、DVDなら多少古い映画でもいっぱいそのへんに置いてるし、生徒も見てくれるかな、と。そんな淡い期待を抱きながら、授業の準備をしています。