京都芸術大学卒展:宮越裕子さん

 京都芸大学内展、修士の宮越裕子さん。美術館の方でも出てましたが、大学の方は個展方式の展示。素晴らしい。何か溶ける素材で作られたレースが、溶解していくところを捉えた連作写真。同大の加須屋先生曰く「おそらく砂糖と卵白によるアイシング」で作られたレースだとのこと。ある種の無惨さと高貴さが同居している。崩壊していく古城に棲む貴婦人のような。



 宮越さんは昨年も同じシリーズで出品されていましたが、そのときはレースの上に生肉で作った薔薇があしらわれているというもので、背景は黒でした。今回は白い背景の上に白いレースのみ。ムダな物を全部削ぎ落として、レースに絞った緊張感が素晴らしい。



 白い物の上に白いものを置いて質感をしっかり撮るって大変な作業で、ここまで完成度高いものにするのは大変だったんじゃないかと思います。会場には同一シリーズの連作のほか、被写体となったレースも。写真に撮ろうとしたけど、これが本当に難しい。私には無理でした。つか、作品の撮影ですら至難の業。本物はもっと美しいです。恐縮。


宮越裕子
https://www.facebook.com/hiroko.miyakoshi