はならぁと「夜の芸術百物語」

 というわけで、はならぁとトークショー「夜の芸術百物語」終了いたしました。ご来場の皆さん、この場を提供してくださったfukugan gallery村田典子さん、ありがとうございました。なにせ夏場いっぱい自著のためのトークで東京と京阪神を回った直後ということもあり、動員面ではあまり貢献できなかったのが申し訳なかったのですが、その分濃いメンバーで濃いトークができたのが大きな収穫となりました。


 ご来場してくださったのは出品作家の方が多く、栗田咲子さん、シモーヌ深雪さん、「DJもしもし」こと郄木薫さん、竹内カロンさん、谷原菜摘子さんらがご来場してくださいました。このほかギャラリー16の塩田京子さん、関西アートカレンダーの安川エリナさん、県や市の職員の方々、ボランティアの方など、さまざまな立場の方と意見の交換ができたことは望外の幸せでした。


 当日は5時半頃から三々五々人が集まり、食事会に始まって間に村田さんによるギャラリーツアーを挟み、最後は枕を並べての修学旅行的な真夜中トークが夜中2時頃まで続くという超マラソントークで、結局どなたもアルコールを召し上がらないという、ほとんど強化合宿みたいな催しになりました。したがって論点も非常に多岐に渡り、ここに書き尽くすことはとうていできません。


 栗田さんの絵画と遠近法や異時同図法の問題、谷澤紗和子の作品と美術における資本主義の問題、近代と現代のはざまの問題、表現と「悪場所」の関わり、美術とエロスやタナトスの問題、密教信仰と美術の関わり、アンダーグラウンドな美術と「いわゆる現代美術」の間のズレ、地域のニーズと美術表現をどう結んでいくか、貸画廊と商業画廊双方の問題点とメリット、芸術が「わかる」とは何を意味するのか、表現にエモーションをいかに取り込んでいくのか……。よくまあ1日のトークに収まったものだと思います。


 セックス・ピストルズマンチェスターでの初ライブに集まったのはたったの42人、キリストの弟子はそれより少ない12人、アルキメデスがその原理を発見したのはお風呂場に一人でいた時でした。動員は物事をはかる一つの尺度ではありますが、全く新しい物事が生まれるときには、むしろ少人数から始まることの方が多い。はならぁとでの「夜の芸術百物語」もまた、そうした少数精鋭のメンバーで始まる「何か」の始まりだったのだと、一夜明けての私は確信しています。


 トークも充実していましたが、はならぁと生駒宝山寺会場は本当にすばらしい出来栄えの展示で、ちょっとした美術館を見るくらいのボリュームとクオリティーがあり、私のトークもまたその展示に触発されるところ大でした。はならぁとは生駒宝山寺会場での展示が明日16日(日)まで、そのほかの会場は24日(月)までです。是非お見逃しのないように、お世辞抜きにお勧めです。

はならぁと
http://hanarart.jp/2014/