BONZINサスペンション

昨日は神戸でBONZIN君のサスペンションを見ました。


サスペンションというのは体のあちこちに鉤針を刺して、全身を釣り上げてしまうパフォーマンスのことです。もともとはアメリカンネイティブの儀式にルーツがあるのですが、それをゴシックなテイストでやってみせるのがBONZIN君です。BONZIN君はサスペンション以外でも、日本の身体改造をリードしている人で、彼のことはアトリエサード「TH トーキング・ヘッズ」の34号、ネオ・ゴシック・ビジョン特集でもインタビュー記事を載せていますから、もし興味がある人は是非読んでみてください。


http://www.amazon.co.jp/dp/4883750884/


日本でサスペンションができるのは、ごく数名に限られていて、BONZIN君はたぶん日本ではいちばんのトップクリエイターです。数名のチームを組んでサスペンションをするんですが、全員がBONZIN君お手製のとてもファッショナブルな服を着て、しかも昨日はゴスDJのトップであるタイキさんが回しながらのプレイ。ああ、日本のゴスの最先端を見てるな、と嬉しくなりました。


不思議なことに彼がやると、ほとんど出血しないんですよね。巨大な釣り針みたいなのを背中と上腕、下腕の計6カ所に刺して、皮がビヨーンって伸びるくらい引っ張り上げるんですが、そう、2メートルくらい上に上がったかなぁ、釣り上げたままでバンバン回したりブランコみたいに揺すったり、当人も脚を振り回してグルグル空中で回るのに、全然血が流れてこない。針を抜いてもほとんど出ないんですよ。


昨日やったのはクルシフィックス・スタイル、つまり十字架みたいに両手を拡げて吊し上げるスタイルだったんですが、いや、ほんと感動しました。これは不思議なくらい。彼からもらったDVDで何度もサスペンションは見てたのだけれども、実際に見るのとはこれはまったく印象は違うわけで。実際、最初は「うえーっ!」って感じで見てる人もいるのに、最後は全員が拍手して、不思議な感動に包まれるんですよね。


こないだ、たまたま『ベンハー』っていう古いハリウッド映画を見てて、そのなかにキリストの磔刑のシーンが出てくるんですよ。主人公のベンハーは、キリストの磔を見たとたん、これまでの人生の恨みつらみを全て忘れてしまうんだけど、なんとなくその気持ちがわかったような気がする。理屈でいえば「人の死刑を見てどうして人を許そうと思うのか」って話だけど、こういうのって理屈じゃないんですよね。


ちょっといままだ気持ちの整理がつかないままなので、いつかこの話はどっかに書きたいと思います。とにかくいま、すごく感動しています。