マリアーネ@studio J

いま、大阪市内の「studio J」というギャラリーで、マリアーネという作家の展覧会が開かれています。この人の場合、まずは実物を見ていただくのが話が早いと思うので、ちょっとこちらをご覧ください。

なんだろうな、アポリジ二の作家、エミリー・カーメ・ウングワレーみたいな感じですね。蓮の花の枯れたあとみたいにも見える。これ、作品をものすごく拡大した一部なんですけどね。ちょっとカメラを引いて、もう少し広範囲を写してみましょうか。

はあはあ、なんかブヨブヨのパターンが果てしなく広がってますね。草間弥生さんみたい。もっとカメラを引いてみましょう。

うわー。どこまで広がるんだ、この網目。ほとんど強迫観念的ですね。

おお、なんかタラコかイクラみたいな形が見えてきました。ちょっとおいしそう、な感じもしますね。周囲に広がってるのは赤い羽毛でしょうか、なんかフワフワのよくわかんない形が見えます。では、もっとカメラを引いてみましょうか。一体、どんな形なのか……。

















































あちゃー。全体はこういう形になっていたのですね。しかも先端から何かが伸びています。これ、どうなるのでしょうか。




















































ふひょー。なんか、白いものが飛んでいった先にも、怪しげな形のなにかがありますね。何かの花のつぼみのようにも、女性器のようにも見えます。もちろんこちらのオブジェクトも、拡大して見ると同じくらいの緻密さで描かれていて、全体がこの調子で、すさまじい細密描写で描かれているわけですね。けれどもその全体は、セクシュアルな器官にも熱帯植物にも、海中の生物のようにも見える。

この作品を描いたマリアーネさんは、1982年、ブラジルのサンパウロ生まれなのですが、シンガポールと日本で育ったという人です。2003年に京都嵯峨芸術大学短期大学部を卒業して、以来コツコツ制作を続けてきたそうなのですが、インディペンデント・キュレーターの加藤義夫さんに見いだされ、加藤さんキュレーションのグループ展や、金毘羅宮での「琴平プロジェクト」などにも参加。関西の美術界でじわじわと注目を集めだしています。

http://www5a.biglobe.ne.jp/~Arte2000/exhibition/08toramaru.htm

彼女の作品には特に物語性はなく、ただただ、この緻密で奇怪なかたちを描きたいという情熱によって、一点一点制作されています。とはいえ、その浮遊感のあるエロティシズムの表現には、彼女のマルチカルチュラルな生育歴や、熱帯に繁茂する植物たちのフォルムが、どこかで関係しているようにも思えますし、大胆な余白の空け方やモチーフの散らばり具合は、伝統的な日本絵画にも似ています。ラテンのマジックリアリズムと、日本的な奇想美の出会い。今後が期待される、とても楽しみな作家だと思います。

mariane 展「食べる/ eat」
1月23日(土)〜2月20日(土)13:00 − 19:00
日、月、火曜日休廊
http://studio-j.ciao.jp/exhibitions.html