マニエリスムとゼロ年代

 唐突ですが先だって、ちょっと機会があって、伊東宣明さんという作家の方とお会いしたんですよ。伊東さんは既に国際的なグループ展とかにも出品しておられる方で、その後少しメールの交換とかもさしてもらったんですが。 で、そのメールの中でちょっと面白かったのが、ブロンズィーノがお好きなんだそうなんですね。ブロンズィーノってマニエリスム時代の画家で、うまいんだけどもこの時代特有の、奇妙に不安定な絵を描く画家なんですが。

伊東宣明さん https://bitly.com/n3wB1Z
ブロンズィーノ https://bitly.com/pHTr9C


 気のせいかもしれませんが、ある時期から奇妙にマニエリスム期の画家に興味を抱いている作家、あるいはマニエリスム的なとりとめもなさを示す作品を作る人が増えたような気がするんですよね。焦点がどこにあるのかよくわからない、何か解けたような印象のある作品。で、ある時期までの栗田咲子さんもそういうマニエリスム的な傾向の強い画家だったわけですよ。描きかけのまま放棄したかのようで、どこから描き始めてどこで終わるのかよくわからず、クリアなんだが焦点をうまく結ばない。

栗田咲子個展「養いもの浄土」
会場:FUKUGAN GALLERY
会期:2011年7月2日(土)- 7月23日(土)
休日:日月火 *7,8,9,10日は予約制
https://bitly.com/kfUA5B


 そういうマニエリスム的傾向って、この10年、関西で強かったような気がするんですよ。ちょっと上の世代だと高峰格さん。あと、伊藤存さんとか青木陵子さんとか、金氏徹平さんとかね。なんかパラパラしててまとまりがない。というか、まとまりのなさを必死で追いかけてる感じ。こういうマニエリスム的傾向って何なんだろうとずっと考えてて、いまだによくわからないんですけれどもね。世代? 時代? それともほかの何かがそうさせてるのかな……。何かそこにこのゼロ年代を考えるヒントがありそうな気がしてるんですが、さて、どうでしょうか。ほかの皆さんはどう考えておられるのかな……。