上原浩子、吉田芙希子「Show-Lab」

 上原浩子さんと吉田芙希子さんの二人展「Show-Lab」、京都芸大ギャラリーで見てきました。この展示は京都芸大の加須屋先生が薦めてくださったので見に行ったのですが、見てみてお薦めになった理由が納得できました。上原さんの作品は、ほぼ球体関節人形なんですね。おそらくは私が人形好きなのをご存知の上での推薦だったのでしょう。

上原浩子さん作品
http://ami-kanoko.com/schedule/post_469.php


 今回展示されている作品は、このときよりも腕を上げていて、数も非常に多かったです。ほとんど人の形をしていないものも多く、関節の部分に球を使っていないので、その意味では「人形」というカテゴリーをはみ出したものになっています。禿頭の像で不定形な人体像を描いた作品という意味では、球体関節人形作家の井桁裕子さんの影響を感じさせるものですけれど、彼女よりも抽象化への意思が強く感じられるのが特徴かもしれません。


 しかしついに公立芸大からも、こういう人が出てきたのですね。昔は人形というだけで妙な目で見られたものですが、まったくもって感無量です。上原さんの作品は帝塚山ギャラリーでも現在展示中。同ギャラリーで取り扱っておられるようですので、ご興味をお持ちの方はコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。

帝塚山ギャラリー
http://www.tezukayama-g.com/tenran/current.html


 いっぽう吉田芙希子さんは、マンガ/アニメっぽい人物の横顔を、カメオのようなレリーフにした作品。ただしレリーフとしては過剰なくらい立体的に作ってあるところにミソがあります。


 ふつう私たちはマンガやアニメといえば、すぐに「スーパーフラット」とか「線の仕事」というイメージを思い浮かべます。あるいは逆に、完全に3D化したフィギュアのイメージを思い浮かべる。そうした常識を逆手に取って、立体的でもあり同時に平面でもある、レリーフという形式の中にアニメ的イメージを押し込んだ。その矛盾が非常に面白い効果を上げています。


 日本人の顔は平面的で、あまり横顔を描くのに適さないと言われるけれど、それを無理矢理に横顔のレリーフにしているところも、吉田さんの作品の面白さかもしれません。ある種の日本文化論、日本人論として考えることもできるかもしれませんね。吉田さんの作品は京都芸大の卒展で見かけて印象に残っていたので、今回まとまった形で見られて楽しかったです。今後のご活躍に期待しています。

上原浩子、吉田芙希子「Show-Lab」
京都芸大ギャラリー、明日23日(日)16:00まで
http://www.kyogei-ob.jp/kgg/