映画4本とラブストーリーの話

 むかし人伝に聞いた話。東大に受かった子の勉強法。問題を解く体力がないほど疲れたときは、情報を入れるだけでいいことに専念する。単語帳をめくるとか、歴史年表をめくるとか。で、昨日は疲れてたので、それを真似てみることにした。映画4本立て続けに見た。


 まずは「ブラックレイン」。これは昔見たので再見。高倉健がとにかくカッコいい。次はマドンナの「BODY」。初見。マドンナの顔はちょっと栗山千明に似ている。てか、栗山さんはマドンナを相当意識してるのじゃないかと思った。


 話は非常に面白い。マドンナが毒婦役で、金持ちの老人をセックス漬けにし、腹上死させたのではないかという疑いを持たれて裁判になる。で、その老人との関係を再現するかのように、弁護士とも不倫関係を結び、ドロドロしたSMセックスのなかに引きずり込む。が、このベッドシーンがどうにもいただけない。この映画のベッドシーンは、ほとんど煌煌と灯のついた中で演じられる。好きずきではあるが自分には興ざめ。ベッドシーンはホラーと似て、モロに見えると存外つまらない。本当に本物を見せるアダルトビデオには絶対負ける。ホラーのお化けが心霊写真に負けるのと同じだ。


 その次は「マディソン郡の橋」。以前から切れ切れに部分的に見てて、全体通して見るの初めて。やっぱよくできてる。が、どこがどう面白いのか、いまの段階ではうまく自分で言語化できない。もう一回見てちゃんと分析したい。


 次は「ノルウェイの森」。ラスト近くの「先生」とのベッドシーンのあたりだけ少し変えてあるけど、原作にかなり忠実な脚本で、原作通りの台詞がそのまま出てきたりする。ラブストーリーの典型として大ベストセラーになったが、映像化で見るとラブストーリーというより、ある意味マルグリット・デュラスにも似た、恋愛の不可能性を描いた物語のような気がする。そうした不可能性のただなかに落ちていく菊池凛子の演技は鬼気迫るものがある。なかでも、野原の中を駆け下りながら長台詞を喋る場面があり、この場面すべてがワンシーンワンショットで撮られていて切れ目がない。菊池凛子、どんだけ肺活量あるんだと驚かされる。


 以上、たまたまだが4本中3本は愛とエロスの物語だった。来週のOCA(大阪コミュニケーションアート専門学校)のラノベの授業ではラブストーリーをテーマにするので、さっそくこのへんの話もできたら取り入れてみよう。