髪の毛で美術作品を作る作家、高橋涼子

 というわけで、高橋涼子さんの個展行ってきました。下が髪の毛でできたボール。結構大きくて60-70センチくらいあったかな。ちょっとぼやけてるのはピンぼけなのではなくて、モーターでゆっくり回転しているため。シャッタースピードの関係でこんなふうに映る。何の機能も持たない、回転する髪の塊。


 うしろに浮かんでいるのは髪の毛でできたモビール。手前はお菓子をイメージした髪の毛のボールの瓶詰め。近くに寄って匂いを嗅ぐと、うっすらとお菓子の香りが漂っている。お菓子の香りのする髪の毛って、ちょっといろんな意味で怖い。

 髪の毛でできたネックレス、ただし超長い。たぶん全長2-3メートルくらい。これもなんだか単なる首飾りというよりは呪縛みたいなものを感じる。でもそれがポンと置かれてるだけというのがスマート。それだけによけい怖いというのもある。非常に両義的。


 髪の毛を使った砂時計。砂の替わりに入っているのは、髪の毛にひたすらハサミを入れて粉状にしたもの。砂と違って途中で詰まってしまい、落ちきることがない。時間の流れを止めてしまう髪。よくよく考えるとこれもまた呪縛的。


 展覧会のタイトルは「マインド・コントロール」。髪で男性を呪縛する、陶酔させる、ふりまわす……。女性なら誰でもやっていることではあるけど、こういう形で見せられると感慨深い。このほかにも興味深い作品がいくつか。あえて深く考えずに眺めると結構きれい、でもよくよく考えると……という二面性があって面白い。髪のそのものが持つ両義性を引き出した作品群。是非御覧を。

高橋涼子 個展
−MIND CONTROL−
3月17日(土)〜4月28日(土)
13:00 − 19:00  日、月、火曜日休廊
http://studio-j.ciao.jp/exhibitions.html