京都市立芸大博士展

 京都市立芸術大学の博士課程の皆さんの展覧会に行ってきました。



 なんじゃこりゃ、という感じなのですが、これはイングランドからの留学生、マイケル・ウィッテル(Michel Whittle)さんの作品《Thoughts of dry brain in dry season》。屋根の下を無数の塩ビパイプが絡み合いながら這い回っていますが、どことなく人の顔のようにも大脳のようにも見えます。そう言われてよく考えて見ると、家というのは一つの思考システムのようなものかもしれません(特に日本人の場合、そういう傾向が強いような気がする)。



 実際ウィッテルさんはこの作品とは別に、大脳を描いたリトグラフの作品《Landscape with deep symmetry》という作品や、シナプスの結節を思わせる立体作品《untiled》も出品していて、何か脳とその外部の形の呼応関係みたいなものに興味があるのかな、と思いました。下がウィッテルさんのサイトなんですが、やっぱりどうも自然の形と幾何学の関係とか、何かそのあたりにモヤモヤと興味をお持ちのように見えますね。

Michael Whittle
http://www.michael-whittle.com/index.html


 それともう一つ今回の展示では、村上泰介さんの展示が面白かった……と書きたいところですが、残念ながら「調整中」で見られませんでした。人体とのインタラクションで音や映像が現れる作品で、一部の作品は八谷和彦さんの《視聴覚交換マシン》(1993)とちょっと似たアイデアだったようですが、体験できないのが残念無念。


 会場のスタッフの方にお伺いしたところ、村上さんはもともと自閉症の人々が抱える「共感の障害」のようなものに興味があったそうで、そこからこうしたインタラクションのシステムをお考えになったようですね。ネットで調べてみると、以前に京都国立近代美術館で開催された展覧会「生存のエシックス」(2010)にも関わっておられたようです。あの展覧会は非常に刺激的でしたから、今回の作品が見られなかったのは残念でした。なお「生存のエシックス」についての拙文は下記で読めますので、ご興味をお持ちの方は是非。ここでさくっと説明できないくらい複雑で面白い展覧会でした。

『TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.44 純潔という寓話』
http://www.amazon.co.jp/dp/4883751201
「美のパルマコン《5》 生存のエシックス


 で、この展覧会は会期が二回に別れていて、第1期が明日、1月31日(木)まで、第2期は2月2日(土)〜14日(木)。出品作家はそう入れ替えになります。第2期もとても楽しみ、期待しています。

京都芸大博士展
第Ⅰ期 2013年1月19日(土) – 1月31日(木)
第Ⅱ期 2013年2月2日(土) – 2月14日(木)
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
http://www.kcua.ac.jp/gallery/exihibition