京都精華大卒展:中村彰太さん
中村彰太さん。美大、芸大で服作ってる人で面白いなと思うことって普段あんまりないんですが、この人は面白かったです。まず単純に自分が着たい。コム デ・ギャルソンとフセイン・チャラヤンを足して二で割ったみたいな感じかな。
変わった形の服だけど、たぶん実際に着たら「張り切ってオシャレしてます!」という感じにならず、意外にサラッと着られそうなのがいいな、と。メンズがあったら着たいです。でも、何が面白いかっていうと、最終的な服の形そのものというよりも、その形を生み出したプロセスが面白いんです。
実はこの服、通常の製図の方法じゃなくて、椅子の形から作ってるんですよ。普通の服って標準の服のパターンを変形させて作っていくんですが、これは基準にしてるのが服のパターンじゃなくて、椅子の図面なんですね。椅子の図面を型紙にしてトルその上でドレーピングして形を整えて、もう一度そこから型紙を作るというプロセスを踏んだそうです。結果としてあまり椅子っぽくはなってないけど(多少椅子っぽさを残した方が良かった気はする)、プロセスが非常に面白い。
もとになってるのはフィリップ・スタルクの「ルイ・ゴースト」、柳宗理の「バタフライ・スツール」、ハンス・J・ウェグナーの「Yチェアー」など、家具デザインの名品中の名品ばかり。そこに変形に変形を重ねて、服の形にしてしまった。服というジャンルを一回離れてデザインしたところが面白い試みだなと思いました。