お伊勢参りに行ってきました

 というわけで、著書無事刊行の満願成就御礼とヒット祈願のために、伊勢参りに行って参りました。伊勢神宮というのは大小125もの神社からなる集合体なのですが、私が今回お参りしたのはそのほんのごく一部、内宮(ないくう)と外宮(げくう)という主立ったところです。お参りするのはまず外宮から、お祭りされているのは豊受大神といって、五穀を司る女神様です。主立ったお宮以外にも、境内にはこんな磐座(いわくら)があり、これもまた信仰を集めています。


 ご存じの通り伊勢は20年に一度「遷宮(せんぐう)」というのがあって、古いお宮から新しいお宮へと御神体を移し替えることになっています。昨年この遷宮が行われて話題になりましたが、これは外宮の本宮の古いお宮。既に遷宮を終えて入り口が閉ざされています。茅葺き屋根に草が生えているのが見えますが、じき解体されることになります。古材は払い下げられて、旅館や料亭などの床柱やテーブルなどになったりするそうです。


 こちらがその隣にある新しいお宮です。真新しいですね! 外宮の境内には本宮のほか幾つかのお宮があるのですが、ここがもっとも中心となるお宮です。ただし、実はこの写真に写っているのは四重の垣の一番外側の門の部分。「何事のおわしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる(西行)」の歌の通り、中はうかがい知ることができません。


 さて、もういっぽうの内宮、こちらは有名な「おかげ横丁」なんかのある方です。内宮の手前には五十鈴川という川が流れていて、その上に宇治橋という橋が架かっています。この写真は宇治橋の上から五十鈴川を眺めたところ。


 内宮の境内にもたくさんお宮があるのですが、ここが参拝のクライマックスにあたる内宮の本宮。やはりここも四重の垣に覆われていて、お参りできるのは一番外側のところからだけです。お祭りされているのは天照大神。天岩戸隠れのエピソードなどで大変有名な太陽の女神様です。内宮も外宮も双方とも中心におわすのは女神様というのが興味深いですね。


 それと、今回は倭姫宮(やまとひめのみや)という神社にもお参りして参りました。もともと伊勢神宮はこの地に祀られるかどうか未定のままで、あちこちを倭姫がトランス状態になって巡幸し、最終的にこの地に落ち着いたのだとか。ただし、ここはなんと大正年間に入ってからできたというお宮。伊勢神宮の不思議な成り立ちについて考えさせられます。


 それと今回は徴古館(ちょうこかん)という博物館に行って参りました。徴古館は伊勢神宮に関わる歴史的資料を集めた博物館で、1906年の開業ですから約110年も前の近代建築。全体のフォルムは平等院鳳凰堂から来ているそうです。1時間ほど見たのですが、とうてい全部は見られませんでした。しっかり見るには3時間前後は必要かと。


 私が以前にお参りしたのは2009年。何か急に伊勢が気になって仕方なくなり、人生初のお伊勢参りを経験しました。5年前には駅前などもずいぶん寂れた印象がありましたが、昨年の遷宮ブームを経て付近一帯も美しく整備され、2年連続で参拝者は1千万人の大台に乗りそうだとのこと。江戸時代には60年周期で自然発生的に伊勢参りのブームが起きたほか、幕末動乱期には「ええじゃないか」の騒動ともリンクした伊勢ブームが起こったそうですが、今回のブームはいったい何を物語るのでしょうか。吉兆であることを強く願っています。