末冨綾子 展@梅田画廊
失明しながら絵を描き続ける作家、末冨綾子さんの個展に行ってまいりました。末冨さんは私とほぼ同世代で、進行性の眼病でありながら絵を描き続け、ついに視力を失いながらも、カンヴァスの上に縄や凧糸、綿棒などを石膏で貼付けて描くという独自の技法によって、いまも絵を描き続けているという人です。
作風は非常に暖かみの豊かな具象画で、友人、知人の自邸やパリの風景などが主に描かれており、盛り上がった縄のマチエールがレリーフのような表情をつくり出しています。非常に闊達、元気の良い方で、いっけん眼が不自由のようにはまったく見えないほどなのですが「声で人を覚えなければならないのが大変だ」と仰って笑っておられました。
ちなみに会場は大阪でも非常に古くからある有名どころの画廊だそうで、シャガール、フジタ、ルノワールなど、近代絵画、彫刻の名作を商っておられます。オープニングには大阪マルビルのオーナー、吉本晴彦さんのほか、新聞各紙の記者も多数お見えになる立派なものでした。人間、諦めてはいけませんね。
末冨さんは武蔵野美術大の大学院修了時に、同大学の「パリ賞」というのを受賞されて、これでパリに1年間留学し、翌年以降はフランス政府からの官費で留学を続けられたという方。現在は京都とパリの双方を拠点に活動を続けておられるのですが、そんなパリで親交を深められた人に、仏文学者の大野英士さんという方がいらっしゃいます。
この大野さんこそ、私を今回この展覧会に誘ってくださった方で、当日も非常に楽しく歓談させていただいたのですが、この方の話は非常に長くなるのでまた後日。ともあれ、末冨綾子展に是非お越しを。大阪駅から徒歩5分ほど、毎日新聞本社ビル内の、非常に便利な場所にあります。
末冨綾子 展@梅田画廊
2010年5月7日(金)〜15日(土)
10:00AM〜6:00PM 日曜休廊