兵庫県立美術館「描かれた人々-女と男」と歴史画

いま兵庫県立美術館で「描かれた人々-女と男」というコレクション展をやっています。美術史の中の女性像、男性像に注目するもので、コンテンポラリーなものも結構たくさん出ています。私的には下のギュウちゃんこと篠原有司男さんの作品なんかが大好きなので、久しぶりに出会えて嬉しかったですね。

さて、そんなコレクション展の出品作の一つとして、現在同館では本多錦吉郎の「羽衣天女」という作品がかかっています。天女なのに天使のように翼を生やした、何ともいえない和洋折衷の不思議な魅力をたたえた絵です。

こういう日本の神話や歴史に取材した油彩画を「歴史画」といいます。歴史画には和洋折衷の何ともいえない奇妙な味わいがあって、私はとても好きです。黒田清輝などが出てきてからは忘却されてしまったのですが、最近少しずつ再評価されるようになってきています。位置づけ的には建築の世界における帝冠様式と、ちょっと似ているかもしれません。とにかくかなりのトンデモで、面白いのです。

原田直次郎「騎龍観音」(1890)
http://www.flickr.com/photos/22081105@N03/2722606849/

「神話〜日本美術の想像力〜」奈良県立美術館、2009
高橋由一日本武尊」(1891)
山本芳翠「浦島図」(1893)(岐阜県立美)
本多錦吉郎「羽衣天女
http://www.art-index.net/art_exhibitions/2009/10/post_653.html

寺松国太郎「乙女散華の図」
原田直次郎「素戔嗚尊八岐大蛇退治画稿」
http://plaza.rakuten.co.jp/ennohasikure/diary/200912070000/

松岡壽「天地開闢
http://blogs.yahoo.co.jp/rinchan_v_v/54405982.html

描かれた歴史—日本近代と「歴史画」の磁場
http://www.amazon.co.jp/dp/4434062107

現在、兵庫県立では森村泰昌さんの展覧会「『その他』のチカラ -森村泰昌の小宇宙」もやっていますが、森村さんの作品には、松岡壽の「天地開闢」を取り入れたものがあったりして、どこかそのセンスには共通項があるような気がします。いずれも常設料金で入れますので、こちらとあわせてご覧になると面白いと思います。
http://www.art-critic.org/2010/11/blog-post.html
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_1011/index.html

しかし去年の奈良県立を見逃したのはつくづく痛い! またどっかで展覧会やってくれないものでしょうか。