「解剖と変容:プルニー&ゼマーンコヴァー」

 昨日開幕の展覧会「解剖と変容:プルニー&ゼマーンコヴァー」ですが、シュヴァンクマイエル好きな人は、たぶんかなり気に入るんじゃないかとと思います。プルニーは面白い人で、基本はベルメールっぽいんだけど、シュヴァンクマイエルみたいな感じもある。



 これは二人のお子さんの写真をコラージュして描き上げたドローイングですが、何か非常に解剖学的ですね。上下の四つの楕円形、頭蓋骨を上から見た図になっているのがおわかりいただけるでしょうか。彼はお子さんを非常に愛していて幸福な家庭を築いているのですが、その愛情表現はこんなふうになってしまう。愛の形にもいろんなあり方があるんですね。



 非常に面白いことに、彼は作品を制作する際に何月何日の何時から何時までどういう作業をしたか、びっしり書いていくんです。下がその作品の一部で、リストになっているのがわかります。



 後日また載せるつもりでいますが、彼には森村さんみたいな作品とかステラークみたいな作品もあるんですよね。今回は日本初の本格的なお披露目なので、その全貌が明らかになるのはもう少し先のことになるのかもしれません。しかも、これだけ美術史や同時代の美術とクロスする作品を作っていながら、なぜか彼は美術作家になろうという意識がほとんどないらしいんですね。作品の公開も「まあ公開したいならすれば」という程度なのだそうで。abcdの方は「本人の意思確認が難しい」と言っていましたが、非常に深い芸術への問いが、そこには隠されていそうな気がします。

「解剖と変容:プルニー&ゼマーンコヴァー
チェコ、アール・ブリュットの巨匠」
(兵庫県立美術館/神戸)
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1202/index.html