『横尾忠則 ラッピング電車 故郷を走る』
画家、横尾忠則さんの絵画で全面ラッピングされた電車が、兵庫県のJR加古川線を走っていたのをご存じでしょうか。この電車は2004年に加古川線の電化を記念して走り出したもの。第1号はポップな色彩が乱舞する上に、無数の目玉があしらわれた「見る見る速い」という電車でした。デザインは下記をご覧いただきたいのですが、とにかく強烈なインパクトです。
「見る見る速い」http://web.pref.hyogo.jp/nh01/nh01_2_000000196.html
「見る見る速い」「滝の音、電車の音」http://suteki32.exblog.jp/15514366/
「銀河の旅」http://pics.livedoor.com/u/yanesan/8359890
「走れ!Y字路」http://f.hatena.ne.jp/o_keke_nigel/20080816234901
どれもすごいデザインなのですが、定期検査にともなう解体のため、現在はすべて運行を終了しています。広告でラッピングされた電車は珍しくありませんが、純然たるパブリックアートとしてラッピング電車が制作されるのは、きわめて珍しいケースかと思います。そうした意味でも終了は大変残念なのですが、そんな「横尾列車」の思い出を残す本が淡交社から刊行され、編集の方からご恵贈いただきました。
『横尾忠則 ラッピング電車 故郷を走る』淡交社
http://www.amazon.co.jp/dp/4473038416
最大の見所は、幻に終わった5号車「ターザンの雄叫び」と、タイトル不詳の6号車が誌上で再現されている点です。この二つは諸般の事情で実際に走ることはなかったのですが、デザイン画を記録写真と合成して、あたかも実際に走っていたかのように再現してあります。なかでも最後の6号車は、ホースをくわえた三島由紀夫を前面にあしらい、谷崎、川端、藤村などの肖像画で覆われたサイケデリックなもの。いずれも強烈なインパクトですが、この本でしか見ることができません。ご興味をお持ちの方、是非お買い求めください。