三好彩さん個展「火」イムラアートギャラリー

 昨日はイムラアートギャラリー(京都)で三好彩さんの個展を見てきました。ほとんど何も知らない状態で、イムラさんのサイトで作品画像を見て一目惚れ。早く行かなきゃと思っていたのですが、最終日にようやくお伺いできました。



 ……なに、これ。犬でしょうか。この二頭の位置関係はどうなってるんでしょうかね。非常に荒々しいタッチで板に描かれていて、ブラシストロークから二頭の激しい動きやエネルギーが、ビシビシ伝わってきます。口から焔のようなものや緑色の舌が飛び出していて、地獄の番犬のようでもあります。



 かなりの厚塗りで、こういう盛り上がりの部分は手術用の手袋を使って描くのだそうです。しかしこの菊のような紋章は何なのでしょうか。犬の胴体に菊の紋章? どうして指で描くの? わからないことだらけですが、三好さんは人と話しているときに、突然こういうイメージが見えることがあるんだそうです。見えるイメージとそのときの感情とは対応関係があって、一種の共感覚の強烈なもののようなんですが、詳しいことはよくわかりません。



 右の作品の上にあるのはカラスかなにかのように見えますね。その下にいるのは羊か何かかな? カラスが羊を襲っているところ? ほとんど心理学のロールシャッハテストのようです。実際、三好さん自身にも正確な意味がわからないものがあるそうで、描きながら自己分析するんだそうです。まさにロールシャッハテストですよね。



 かなり大振りなストロークがあるかと思えば、ロココ調の模様みたいな繊細なモチーフが描かれることもあって、どちらにもまったく迷いがない。描くべきものを描くべきスタイルで描いている、という印象がある。たぶんご自身が「見た」ビジョンをそのまま描きつけているからでしょう。いずれも筆触のたっぷりしたボリューム感があってエネルギッシュ。絵画を見ているなあ! という満腹感があります。



 これはおそらく自画像ですが、彼女のセルフイメージが強く出ていますね。なんでも学生時代はこういう個性をかなり抑圧して作品を作っていたそうで、ポートフォリオを見ても学生時代の作品は一切ない。そういう抑圧、圧迫感がここに出ているんだと思います。今回が初個展だったにもかかわらず、かなりの点数を売るグッドセールス。卒業後わずか一年で凄まじい数を作っていて、今後が楽しみな作家です。

三好彩さん個展「火」イムラアートギャラリー
会期終了
http://www.imuraart.com/ja_artist28_miyoshi.html