京芸 Transmit Program 04 KYOTO STUDIO/最後の手段 個展 「山奥吹く川」

 京都には若手の作家が家賃を出し合ってシェアする共同スタジオがいっぱいあって、毎年この時期に「京都オープンスタジオ」というイベントをやっています。このイベントは直接的には新しい入居者を捜すためのものなのですが、地域との交流の機会になったり、まだ個展を開く機会のない作家たちのアピールの場になったり、非常にいろんな意味を持った楽しいイベントになっています。


 今回、京芸@kcuaで開催されているのは、このオープンアトリエをそのままアートスペースに結集させた展覧会です。会場内に17軒のスタジオを再現、出展作家は総勢88人、出展作品数は100点を超えるという大規模なもの。もともと「京都オープンスタジオ」自体、はっきりした一つの目的のためにやっているというよりも、それぞれの野心や衝動や表現欲が渾然一体となったもので、ある種の祝祭的な空気があるイベントなのですが、この展覧会はそれをうまく再現した、何が何やらわからない混沌とした会場になっています。


 私個人のお薦めを書いておくと、むこうスタジオの西村知子さん、HyonGyonさん、それとうんとこスタジオの谷澤紗和子さん。このお三方はちょっと図抜けたことをやっているので、是非実際に会場に足を運んでみてください。西村さんの作品はパッと見るとわかりにくいかもしれませんが、原始生活を実際にやるという度肝を抜かれるコンセプトのもの。HyonGyonさんは韓国人の「ハン」のようなもの、言語化し得ないエネルギーが爆発していて面白いですし、谷澤さんは未開社会のアブジェクトな原理が作品化したような、もののけめいた世界が見られます。


 京芸@kcuaでは同時に「最後の手段」という映像グループの個展も開催しています。深い山奥をさ迷う女性が次々に脱皮していくという奇妙なイメージの作品で、ほぼ全編をコマ撮りアニメで撮影してあります。家中の家具やモノがぞわぞわと動き出すシーンなど圧巻、シュヴァンクマイエルなどお好きな方にはお薦め。物凄いクオリティーの高さですので、併せてごらんになってください。

「京芸 Transmit Program 04 KYOTO STUDIO」
最後の手段 個展 「山奥吹く川」
いずれも5月19日まで、京芸@kcua
http://www.kcua.ac.jp/gallery/exihibition