9/23恵文社イベント/ゲストご紹介(1) 谷澤紗和子

 9/23の恵文社でのイベントですが、少しずつ当日のゲストのご紹介をしていこうと思います。まずは谷澤紗和子さんなのですが、この人は私思うに、いま関西の中堅の作家でいちばん呪術的な人なんじゃないかと思います。自分の本に軸が通ったのは、おそらくこの人の作品があったからだとさえ思っています。そのくらい強烈な呪術性があります。



 谷澤さんがごく初期に作っていたのは、こういうセルフポートレイト作品でした。パールのラメなどで自分の顔をびっしり覆った上で撮られた自画像。自画像なのに顔を覆うというパラドックスがここにはあります。



 その次に彼女が取り組んだ、付け爪の作品。菊の花のように付け爪がパッと広がって綺麗な作品なのですが、よく見るとその真ん中に無気味なものが口を開けている。貝を二枚あわせて作った「穴」だそうですが、なんというか……オブセッショナルな感じがします。



 その次に彼女が手掛けた作品。粘土製の人形に、びっしり貝がらが埋め込まれている。以前の作品ではラメやつけ爪に覆われていた無気味なものが、いよいよ表面に噴き出して発芽してきた感じがします。



 もう、ここまでくると、押しとどめようもありません。



 さらに空間全体に繁殖、触手を伸ばすような感じ。このころ「巨大貞子」登場。このあたりから「この人狂ってる」と思って目が離せなくなりました。


 さすがに最近は何かを吐き出し終えたのか、光と影を使った「揺れ動く影絵」のような仕事になっています。ちょっと淡白な印象、でもよく見ると、モチーフは結構激しいものがあって、実は巨大な髑髏だったりする。しかも室内空間の「光」を取り込んだ表現になっている点で、ある意味で全く隙間がない。増殖の果ての希薄化? なのかもしれません。それとこのシリーズ、実は民話をテーマにしている。人々のざわめき、呪術的伝説のようなものの作品化でもあるんです。



 そんなふうに呪術的美意識の領土を拡大してきた彼女は、今年は9/13からの六甲ミーツアートに出品します。さすがに六甲山域全体を呪術性で絡め取るようなことはないでしょうが、どんなイメージが出てくるのか楽しみです。なにせ六甲山系と言えば、昔から「くだん」の話をはじめ、怪異譚の多い場所ですからね!
http://www.rokkosan.com/art2014/artist/20140624_6572/



 彼女はそのあともスウェーデンを含む国内外諸都市で立て続けに展示が予定されていて、ほぼ月イチペースで来年1月まで展示が決まっています。そんなわけでかなり勢いのある作家なので、この機会に是非彼女のトークお聞きいただけたら幸いかと。ちなみに9/23恵文社のイベントでは、これまでの彼女の活動についてのプレゼンもあるようなので、ご興味お持ちになられた方は是非お越しを。ご予約(higu9696@gmail.com)いただけましたらなお嬉しいです。皆様のご来場、心よりお待ちしています!

2014年9月23日(火・祝) 開場13:00 開演13:30 〜15:30
於・恵文社COTTAGE(恵文社一乗寺店 南側)

☆ゲスト:谷澤紗和子(美術作家)
     塚原悠也(美術作家、contact Gonzo)
     吉岡洋(美学者、PARASOPHIAアドバイザー)

☆入場料:1,000円(ドリンクつき → ドリンクなしに変更)
☆ご予約:higu9696@gmail.com
http://d.hatena.ne.jp/higuchi1967/20140520/1400564551