LAFMS(ラフムス) + 中嶋昭文

 本日までの展示なんですが、非常に貴重な展示なのでお知らせ。FUKUGAN GALLERYの[Slow Life Avant-garde Fest ]。ロサンゼルス・フリー・ミュージック・ソサエティ= LAFMS(ラフムス)と、京都のノイズアーティスト、中嶋昭文さんの遺作を中心にした展示。

FUKUGAN GALLERY
[Slow Life Avant-garde Fest ]
2014年3月5日(水)- 2013年3月15日(土)
http://fukugan.net/jpegbox/title.html


 LAFMS(ラフムス)というのは80年代のLAに生まれたノイズ音楽とアートの集団で、メンバーにマイク・ケリーやポール・マッカーシージョー・ポッツといった美術作家が入ってたグループです(メンバーが膨大すぎて、私も全貌を把握してないんだけど)。フルクサスの80年代ノイズ版、て感じなんだけど、フルクサスがメンバーの一定しない不定形な集団だったように、美術、音楽、パフォーマンスが渾然一体となった不定形な集団だった。


 いっぽう中嶋昭文さんは、もともと京都芸大のデザインを出てた方なんですが、ある時期から脳波とかチェーンの音とか、さまざまな音を音源に使ったノイズ音楽のソロユニット「Aube」を開始。ジャケットワークなんかはご自身でやっておられて、それだけでもう一つの作品になっている。ノイズなんだけど非常に美しい。残念ながら昨年亡くなってしまわれたので、今回はその遺作展です。下記リンクはその映像作品。非常に美しいアンビエントなノイズです。

Aube - Luminescence (1994)
https://www.youtube.com/watch?v=amA889SOwpY

 中嶋さんとラフムスは生前には接点はなかったんですが、ラフムスはとにかく変幻自在な集団なので、一人誰かを間に人を入れるとつながっちゃうようなコミュニティーだった。実際、今回の展示もかなりスムーズに決まったそうで、ある意味で中嶋さんもラフモスに「死後に編入」ってことになるのかもしれません。そのくらいラフムスは混沌とした集団だったんですね。


 マイク・ケリーの作品は大阪だと国立国際に収蔵されてるけど、あそこで見るといかにも美術作品然としたものに見える。でも彼の作品が生まれてきたのは、もともとこうした混沌とした場所なんですね。たとえばマイク・ケリーはソニックユースのジャケットを手掛けていますが、これなんかはその典型。ちなみにソニックユースってのは、ファッションブランド「x-girl」の元デザイナーがギター弾いてるバンドで、別名「グランジの帝王」とも呼ばれています。

Sonic Youth - Dirty
ジャケット:マイク・ケリー
https://www.youtube.com/watch?v=aYZJ3OLtDMY


 こんな感じでラフムス周辺の人脈を辿っていくと、音楽もファッションも美術もクロスした、混沌とした世界に行ってしまう。それだけに美術に収まらない一種の文化運動として、今後フルクサスくらい重要な文化的地下水脈として評価されるんじゃないか、という気がしています。でも現在、日本の美術畑で注目してる人はひどく少ない。FUKUGAN GALLERYの村田典子さんはその一人で、これまでにも幾度かラフムスがらみの展示を手掛けられています。ともあれ一度、この混沌とした世界を感じてください。


 ……などと書いていたのですが、LAFMSの読みを「ラフモス」と綴っていたところ、こんなご指摘が。


@nonomurax 僕らの頃は、ラフムスって呼んでいましたけれどもねえ。 @ecdecdecd 知らなかった。LAFMSってラフモスって読むのか。


 ラフムス? ラフモス? どちらなのでしょうか。ともあれここでは「ラフムス」と綴っておきます(でも口頭ではつい「ラフモス」って言っちゃうかも)。まあ「関西弁ではラフモス」ってくらいのユルい感じでご承知置きいただければ。カタカナ綴りは難しい。。。