「横尾探検隊 LOST IN YOKOO JUNGLE」

 横尾忠則現代美術館、今期の展示は「横尾探検隊 LOST IN YOKOO JUNGLE」。ターザン映画、南洋一郎の小説の挿絵、ジュール・ヴェルヌのSF小説など、サブカルチャーにおける冒険モノにインスパイアされた作品をピックアップした展覧会になっています。手前は《さらば故郷》(1995)。奥の作品はすいません、タイトル控え忘れました。



 横尾さんと言えばY字路ですが、今回の出品作はこんな感じ。下は《下田幻想》(2007)、下田温泉のY字路がまるごと海底に沈み、潜水服を着た人々がそぞろ歩きをしている。背景には沈没船がぼんやり見えていて、手前に揺れる海ユリが鮮やかです。ヴェルヌの『海底二万哩』の世界ですね。



 横尾さんには珍しい立体作品も。下は《Experimental Report》(2008)。2005年版の映画「キングコング」にもこんな島が出てきたけど、この作品のイメージソースは何なのでしょうか。ちなみに今回の展示では一部「元ネタ」も一緒に展示してあるのが特色で、鈴木御水による南洋一郎の小説の挿絵なども会場に展示。サブカルチャーと美術の相互作用を示したという意味でも興味深いものになっています。



 残念ながら今回はカタログの刊行がなく『ぬりえ・横尾探検隊』というパンフレットでそれに替える、という態になっています。面白い展示なので論文化されていないのは少し残念ですが、サブカルチャーから生まれた美術が再び「ぬりえ」というサブカルチャーに戻っていくという構図で、それもまた面白いのかな、と思います。

「横尾探検隊 LOST IN YOKOO JUNGLE」
2014年4月12日(土)〜6月29日(日)
横尾忠則現代美術館
http://www.ytmoca.jp/exhibitions/2014/03/post-2.html