京都市立芸術大学の卒展その2

 油画3回生の高木智子さん。いっけん抽象画に見えるんですが、ん? と思って立ち止まってじっと見てたら、なんと具象画じゃないですか。しかもおせち! これにはやられた。じっくり見てください。ゴマメとかエビとか黒豆とかが見えてきます。


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 油画修士1回の吉田芙希子さん。ロココ調の陶器みたいに見えますが、発泡スチロールの上に石膏粘土で表面を塗ってツルッとした質感を出し、油彩で着色してある。なので、油画と言えば油画なんですね。油画として見た場合、支持体の凹凸と描かれた図柄が重なったりズレたりしていて、このあたり「絵画とは何なのか」という問いも孕んでいる。この方は以前にも幾度か見ていて、面白いなと思っていました。学内での展示などを見ると結構な点数を作っておいでだったのでかなり手も早そう。今後の活躍期待したいです。ちなみに、以前書いたテクストはこちら。
http://d.hatena.ne.jp/higuchi1967/20111022


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 油画4回生の岸本光大さん。発泡スチロールで内装を作ってしまうインスタレーションポートフォリオを見てみると、結構凝ったシャンデリアとか室内灯みたいなのもお作りになるようで、今後いろんな展開が楽しめそう。


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 油画修士2回の西村知子さん。今回一番仰天したのはこの方。原始人が展覧会開いてるのかと思った。石オノとか矢じりとか、胡桃を割って作った餅とかを自作して展示してある。ある意味ゴンゾにも近いが、野性味では勝るとも劣らない。しかも女性! 今後が楽しみ。




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 実はもう一つ話題作あったんですが、これ、ちょっとパスしちゃったんですよね。というのも、生きたゴキブリの展示だったそうで。面白いなとは思うんですが、無理。評論って原則、あんまり単純な自分の好き嫌いで判断しちゃいかんとは思うんですよ。好き嫌いを超えた「何か」に基づくべきだとは思う。でも自ずから限界はある。ゴキブリ、無理でした。すいません。力作だとは思うので、あえてここに記しました次第。恐縮頓首。……と書いたところでご本人降臨、リツイートがかかりました。さっそくお詫びを入れたところ、こんなお返事が。

オカモト リサ @lliiiiisa
いえいえ。長艸さん(*樋口注・共通の知人)にも同じことを言われました(笑)実際お会いしてのコミュニケーションやインターネットの反響もすべて作品に含まれるつもりでいます。