中村佑介さんと会ってきたよ

今をときめく人気イラストレーター、中村佑介さんの講演会に行ってきました。画像はいろいろ差し障りがありそうなので、書影のアップくらいに留めておきましょうか。


中村佑介『Blue』(飛鳥新社)
http://www.amazon.co.jp/dp/4870319225
http://www.yusukenakamura.net/

中村さんはアジカンのジャケットを毎回手がけておられるので有名で、ほかにもスピッツのインナースリーブの仕事とか、赤川次郎さんの文庫の表紙とか、季刊エスでの連載とか、とにかく山のようにいろんな場所で仕事をされている方です。作品集『Blue』も大変な売れ行きで、私が知っている数字では、確か十数万部の売上だったと思います。現在は画集プロモーションのために行われる、全国47都道府県でのサイン会ツアーを回っておられる最中で、こんなことをされるイラストレーターというのも珍しいのではないでしょうか。

で、私はと言えばその中村さん人気にあやかって出版された『ユリイカ』の中村さん特集号に書かせていただいたご縁で、幾度かご本人とメールのやり取りをする機会があり、今回の大阪でのトークとサイン会にお邪魔した、というわけです。


ユリイカ臨時増刊号 総特集=中村佑介』(青土社)
http://www.amazon.co.jp/dp/4791702050

実は彼とメールをやり取りする過程でわかったことがありまして、なんと私は彼と10年ほど前に一度お会いしてたそうなんですね。しかも大阪のミナミの深夜の路上で。こちらは指摘されるまで完全に忘れていたので、本当に驚きでした。まさか当代一流の売れっ子イラストレーターと深夜の路上で、しかも10年前に名刺を渡していたとはね。

そのころの記憶を一生懸命たどると、たぶん2001年か2002年ごろ、エルマガジンに原稿が載り始めたばかりの街ネタ担当だったときのことじゃないかと思います。とにかくめったやたらに街を歩いては、面白い人や変わったことを、何かないかと鵜の目鷹の目で探し歩く毎日でしたね。


ASIAN KUNG-FU GENERATIONソラニン』(KRE)
http://www.amazon.co.jp/dp/B0035NO6KE

あれはいま思い出しても本当にツライ仕事で、既に売れてて大きな美術館やホールでやってる人のネタを持っていくと「それはもう売れてるから」と言われ、売れてないけど輝いてる人のネタを持っていくと「それ、マイナーだから」と蹴られ、本当にどうしたら良いのかと頭を抱えてる頃でした。じゃぁどうするのかというと、既存の流通ルートには載ってない人を探すんですね。路上でやってるミュージシャンとか、バーやカフェを会場にして個展をやってるイラストレーターとかね。ふつうの人はまず知らないけど、確実に発表の場を持ってて「知る人ぞ知る」という存在を探す。

ところがこれ、口で言うほど簡単なことじゃないんですよ。ロックバーとかフェティッシュ系のお店とか、そういうよくわからないお店で情報を求めて、夜明けまで飲む。それが日課になっていましたね。おそらくそんな生活をしている頃に出会ったのが、中村佑介さんだったわけです。でも、結局書かせてもらえる原稿は400字とか600字とか、そんなんばっか。あんな生活続けてたら、いまごろ多分アル中になってると思いますw。

いまでは自分でも驚くほど仕事の内容が変わり、ちゃんと招待状をいただいて国立美術館で取材して、日中においしいワインを適切な量だけ頂いて、10枚20枚の論考を書くというスタイルになっています。あの頃の血反吐を吐くような深夜の徘徊は、一体何だったんだろうと思いますよね。でも結局、そういう場所で中村さんと出会っていたわけで、あの頃の苦労が報われたような、そんな気分になりました。嬉しいと言えば、これほど嬉しいこともありませんよね。

当日は中村さんのトークのうまさに驚かされたり(本当にまじでトーク彼はうまいです)、10年ぶりの再会を言祝いだり、実は共通の知人が何人かいたりするのに驚いたりして、本当に楽しかったです。サインもしっかりもらったしね。そうそう、ブログではおなじみ「沼田課長」のお姿も拝見できて、これもある意味感激しました(沼田課長、いつも運転お疲れさまですw)。中村さんとはまた何かのタイミングでお仕事ご一緒したいと考えていますので、そのときはまたご報告します。いや、本当に楽しかった!