Entries from 2012-01-01 to 1 year

「描く仕事」は「隠し事」 兵庫県立ピサロ展とコレクション展について

本日は兵庫県立のコレクション展を見てきました。いま同館で開催中のピサロ展は、本日入場者が5万人を超えたそうで、たまたま蓑館長が5万人目の入場者の方に記念品を渡す場面に出くわしました。担当学芸員は江上ゆかさん、本当におめでとうございます。 さ…

上田学園ゴシックロリータ研究部†浪漫少女部グループ展

UEDA Society for Gothic Lolita Studies 上田学園ゴシックロリータ研究部†浪漫少女部研究発表グループ展 The Secret Miniature Garden “ないしょの箱庭”会期★2012年8月21日(火)〜25日(土) 時間★11時〜18時(最終日17時まで) 会場★乙画廊 大阪市北区西天満2…

ゴシックとコンテンポラリー

ふだんあんまりジャンルの差を意識せず、面白いと思えば何でも書くという姿勢でいる。なので手当り次第にあれやらこれやら書いてきたのだけれど、ふと思い立って自分の仕事を一度整理してみることにした。もともと自分はゴシックな分野の作家に関心を持って…

魚の骨で作るアート、田辺由美子さん

昨日ご紹介したアートコートギャラリーのグループ展「Art Court Frontier 2012」からもう一人、田辺由美子さんをご紹介します。見たまんまですが、魚の骨で作品を作る方です。 《afterlife on a table》。サイズ可変のインスタレーション作品になっていて、…

高田智美《たくさんの手紙たち—マグダラからマグダラへ》

桜宮のアートコートギャラリーで年1回開催されている若手のグループ展「Art Court Frontier 2012」に、高田智美さんが出品しています。高田さんは私が昨年キュレーションしたグループ展「閨秀2.0」に出品してくれた方です。 タイトルは《たくさんの手紙たち…

現代美術二等兵 活動二十周年記念「駄美術大博覧会」

わたしの大好きなアートユニット「現代美術二等兵」の展覧会「駄美術大博覧会」が、HEP HALLにて開催中です。 《メインキャラ》。要するにこういう冗談めいた作品ばかり作っている二人組なのですが、二人ともれっきとした京都芸大の卒業生です。作品の多くは…

「<私>の解体へ:柏原えつとむの場合」「リアル・ジャパネスク」

国立国際、二つの企画展のうち一つは「<私>の解体へ:柏原えつとむの場合」というもの。いろんな問題が錯綜する展覧会だけれど、エンジニアや知財関係の方にも見て欲しい展示。というのも展示作の一つは、手作業によるモーフィングのシステムであり、その…

ART OSAKA2012

面白かった展示のメモ1)武田雄介、MORI YU GALLERY 立体や平面、映像など数十点。だが最初グループショーなのかと思ったほど、全部雰囲気がほぼ一点ずつ違う。異様に多彩な手法を同時進行で手掛けていく作家としては、ドイツのゲルハルト・リヒターがいる…

椎木かなえさん

ART OSAKA2012、乙画廊、椎木かなえさん。今年はこの展示が抜群にいいと思った。本人のキャラクターもあるのだけれど、これだ! って感じ。ダイアン・アーバスややなぎみわに通じる密室性、秘儀性みたいなものを感じる展示でした。展示用の什器を自腹で発注…

清水真理さんの天草四郎

球体関節人形作家、清水真理さんの天草四郎人形。ART OSAKAにて。清水さんは天草出身、郷里への思いには複雑なものがあると聞いている。たぶん一言では言えないくらい、いろんな思いの詰まった作品なのだろうと思う。いろんなことを考えさせられる。

再稼働の日にギャラリー巡り

なんというか、再稼働で日本中が揺れる大変なときに、のんきにアート関係の話題をツイートするって気が引けるのだけれども……。ここで自粛しちゃうと去年の「不謹慎!」という威圧的な叫びと同型の理屈で行動することになるので、あえてやっぱりアートの話を…

芦屋市立美術博物館「アートピクニックvol.2 呼吸する美術」

芦屋市立美術博物館「アートピクニックvol.2 呼吸する美術」、本日オープニングに行ってきました。この展覧会、公式サイトには書かれていませんが、いわゆるアール・ブリュット(アウトサイダー・アート)をフィーチャーした展示になっています。写真は宮間英…

笹川治子さん個展「case.A」

Yoshimi Artsで開催中の、笹川治子さんの個展「case.A」が面白いです。笹川さんはテクノロジーをテーマに作る作家ですが、メディアアート的なものとは逆に「いかにもテクノロジー」なイメージを、ローテクでハリボテ然とした手つきで作ってみせるところに特…

『Miracle~奇跡~ (清水真理人形作品集)』

球体関節人形作家、清水真理さんから新刊『Miracle~奇跡~ (清水真理人形作品集)』ご恵贈いただきました。なんと帯文は松岡正剛さん! これはでかしましたね、清水さん。本当におめでとう! さてその内容ですが、表紙はおなじみアリスの人形、けれどもページ…

純文学のラノベ化?

今日はふと思いついて、ゼロ年代のラノベブームの話を授業でしてみた。こないだ読んだ飯田一史さんの本の影響もあるのだけれど、今月号の『すばる』で読んだ、島田雅彦さんのインタビューに触発された部分は大きい。島田さんは最近『英雄はそこにいる』とい…

飯田一史さん「ベストセラー・ライトノベルのしくみ」

先日ご恵贈いただいた、飯田一史さんの新刊『ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略』、ひとまず読了。読み終えるのに難儀したのは、ひとえに私の無知のためで、頻出する経営学の用語がよくわからなかったから。でもとにかく滅法面…

平川祐樹さん

京都芸術祭MOVING、京都芸術センターの展示のみ拝見。京都シネマは体調よろしからず欠席。芸セン会場では平川祐樹さんの作品が非常に興味深い。自分がここ数年ずっと考えてる、美術と時間の関係が集約されてる。 京都芸術祭MOVING 5月3日(木)〜5月13日(日)、…

アート京都2012雑感

アート京都見てきました。このフェアが良いのは、幾つか部屋を取ってあって自由に休めるところ。気候もよくて見やすい。京都がこの時期を選んだのは正解かも。サブ会場のホテルモントレの方がなぜか人で賑わってるのですが、メイン会場の国際会館、非常にい…

神戸元町「gallery1」

日曜日、神戸元町の「gallery1」に行ってきました。5月に開催予定の「友原康博展」でのトーク打ち合わせのために訪れたのですが、この日のゲストが追加になりました。 日程は同じ5月13日ですが2部制となり、1部のゲストは友原さんの「第一発見者」であ…

「Metis -戦う美術-」、ヒョンギョン

それと昨日は「Metis -戦う美術-」(アクア)見てきました。グループ展なのですが、とにかくヒョンギョンさんという韓国出身の作家が凄まじい出来栄え。現状ではコンセプトも何にも知らないけど、とにかく良い。ヒョンギョンさんのこの展示はかなり話題になっ…

やなぎみわ演劇プロジェクト「1924 人間機械」京都国立近代美術館

昨日はやなぎみわ演劇プロジェクト「1924 人間機械」(京都国立近代美術館)見てきました。主人公は、いま京都国立近代で回顧展を開催中の、戦前の美術作家、村山知義。彼の作った架空の作品を、エレベーターガールならぬ案内嬢が解説するところから舞台が始ま…

すべての僕が沸騰する—村山知義の宇宙—

自分が村山知義の名前を知ったのは、1982年に出た巻上公一さんのアルバム「民族の祭典」が最初だった。このアルバムに収められてる「マヴォの歌」ってのがそれで、村山率いるマヴォグループという前衛的グループの、団歌みたいなものである。一体何語かさっ…

「草間彌生 永遠の永遠の永遠」展によせて

「「草間彌生 永遠の永遠の永遠」展によせて」というテクストを『国立国際美術館ニュース』に書いてます。『国立国際美術館ニュース』は国立国際でタダで配布されているフリーペーパー。驚いたことに最初のページにでかでかと拙文が掲載されています。 美術…

メゾンダール、桑原聖美さん

今日の収穫。関西のTH読者はギャラリーメゾンダールに行くと良いよ。出品作家は桑原聖美、近藤宗臣、kiiman、根橋洋一、中嶋清八、林アサコ、三浦悦子、みそら、林良文。場所は四ツ橋線「本町」駅、靭公園すぐ三浦悦子さんは別格として、私が良いなと思っ…

服部正さんからのDVD

兵庫県立美術館の学芸員でアウトサイダーアートの第一人者、服部正さんからDVDご恵贈いただく。来月開催するアウトサイダー・アーティスト、友原康博さんの資料。当方からはお願いもしないのに送ってくださり感激。内容は2001年に品川で、友原さんの作品…

藤野可織さん新刊『パトロネ』

藤野可織さんの新刊『パトロネ』をご恵贈いただいて読了した。藤野さんは美学科出身の方なので、妙に感覚が美術的で、しかも大のホラー好きでもある。恐怖と美の重なる瞬間には自分も非常に強い興味があって、自分と関心領域はかなり重なる(院生時代のご専…

サブカル論は何の役に立つのか

そういえば、昨日は神戸市外大の学生さんが拙宅の近くまでお見えになって、自分の絵を見て欲しいというのでお会いしたのだが、この学生さんは驚いたことに、神戸学院でやってる自分の講義を聴きたいという。朝イチだよというと、それでも構いませんというの…

感じる服 考える服: 東京ファッションの現在形

神戸ファッション美術館で展示中の「感じる服 考える服: 東京ファッションの現在形」の模様、かいつまんでお知らせします。基本私はゴシック&ロリータの文脈の服が好きなので、その文脈に引っかかったものに絞ってご紹介します。 まずはエイチ・ナオト/h.…

兵庫県立美術館「美術をみる8つのポイント」

兵庫県立美術館のコレクション展「美術を見る8つのポイント」のアクセスがわりと好評でちょっと驚き。近代美術からパリパリの現代美術まで手広く紹介するコレクション展なんですが、おおまかな見方とともに示されるので初心者でもウェルカムな展覧会。もち…

髪の毛で美術作品を作る作家、高橋涼子

というわけで、高橋涼子さんの個展行ってきました。下が髪の毛でできたボール。結構大きくて60-70センチくらいあったかな。ちょっとぼやけてるのはピンぼけなのではなくて、モーターでゆっくり回転しているため。シャッタースピードの関係でこんなふうに映る…